内容説明
世間を騒がす児童行方不明事件に、ある大学教授が偶然関わることとなった。場外馬券売り場でいつも見かける男が容疑者に浮上したが、週刊誌の記者に報道とは異なる事実を伝えたからだ。予期せぬ殺意が近付きつつあることも知らず……。(「しりょうのふね」) 元新聞記者が未解決事件の真相を小説の形式で追及。見出された光景にあなたは戦慄する。異常と陰惨に満ちた短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
92
思いがけない拾い物をした感じ。と、言ったら前川さんファンの方には失礼な表現かもしれないが、面白いです。元新聞記者が記者時代に取材した未解決事件を小説風にした5つの短編集。読んでいるとまるで実際にあった事件のような錯覚に陥る。もちろん、書かれていることは全てフィクションなのだが。どれも真相が暴かれていくうちに、人間のおぞましさや薄気味悪い部分を垣間見るようでゾワリとしてくる。こういった未解決事件が実際にもあるかもしれない。2022/01/19
巨峰
60
面白かった。謎を残したままの5つの事件。今作では、残虐さより謎の追求に重点が置かれています。ので従来からの読者の中では物足りなさを感じる人がいるのは仕方ないけど、個人的には前川さん、化けつつあるんじゃないかと思います。その事件もなかなか一筋縄ではいかないのも良かったです。2021/06/09
hushi亜子
48
今回はいつもの不気味前川節は無し。未解決事件5件を洗い直した結果を、架空の作家が書いた短篇集。「しりょうのふね」が何となく「クリーピー」じみてた感じで、おまけの結末もなかなか予想つかずで面白かった。が、他4作は特に驚くことも気味悪くも無く、淡々と読み終えてしまった。 もっと、あの不気味前川さんの作品が読みたいです。2019/06/27
きさらぎ
46
元新聞記者が関係者のその後を取材し真相を推理する短編集。世間を賑わせた事件のその後を知ることってあまりない。ましてや未解決事件となると、ひっそり人々の記憶から消えていくことがほとんど。架空の事件だけど、実際の事件にもこうした真相が潜んでいたのでは?と思わせる。もっとたくさんの事例を読みたい。面白かった。2019/10/05
Syo
43
最初は、取っつきにくいのを 選んじゃったかな って思ったんだけど。 面白い。 未解決事件。 似たようなことが、 あちこちで起こっているような気が。 司法解剖が義務付けられたら…。2019/08/14