内容説明
■まったくあたらしい視点で三国志を知る・楽しむ! 三国志ファン垂涎の一冊。
「劉備が諸葛亮に遺した遺言が、しっくりこない!」
三国志研究家は、何を「問題」と考え、何を「研究」しているのか?
120以上の論文を書き上げた第一人者がその知られざる“裏側”と“狂熱”を徹底解説。
・『三国志』『三国志演義』の新たなる考察
・劉備は諸葛亮を信頼していなかった!?
・陳寿『三国志』には、劉備が母のためにお茶を買うシーンはない
・ 統、馬良、蒋 は地縁で優遇された
・曹操は儒教を崩壊させるために「文学」を宣揚した
・司馬懿は夏休みの宿題のような詩をつくった
・孫権が張昭を屈服させられなかった理由
・魯肅は経済資本を周瑜に与えて「名士」となった
・「乱世の姦雄」「臥龍」など人物評語が与えられた理由 etc.
【著者プロフィール】
渡邉義浩 (わたなべ よしひろ)
1962年東京生まれ。筑波大学大学院 歴史・人類学研究科博士課程修了。文学博士。
現在、早稲田大学理事・文学学術院教授。大隈記念早稲田佐賀学園理事長。三国志会事務局長。
専門は古典中国学。
主な著書に、『始皇帝 中華統一の思想』(集英社)、『三国志―演義から正史、そして史実へ』(中央公論新社)、『人事の三国志』(朝日新聞出版)、『三国志「その後」の真実』(SBクリエイティブ、共著)などがある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
19
三国志の解説本であることには間違いないのだが、結構新鮮な内容が多かった。名士とは?儒家とは?文学を打ち立てた曹操と荀彧の確執とは?文才以外は特筆するものがない曹植が曹操の後継者候補となったワケとは?法正と諸葛亮の確執とは?劉備が諸葛亮に残した遺言の真意とは?などなど。ゲームで三国志に触れて彼らをコマとしてしか見てなかった身としてはこの世界の深みを味わえる一冊となった。2020/04/24
ひよピパパ
12
三国志研究の第一人者である著者が、これまでどのように「三国志」と向き合ってきたかを、三国志研究への視座を示しつつ綴った書。どのような問題意識のもと、これまでの著述がなされてきたかを知ることができ興味深かった。劉備集団内部に諸葛亮(荊州名士)一派と法正(益州名士)一派のせめぎ合いがあったとする説は、劉備の遺言に秘められた謎にもつながる視点であり、やはり面白かった。2020/08/01
ようはん
12
三国志関連の本ではお馴染みの渡邉義浩先生が吉川三国志や横山三国志に触れている第一章は新鮮だった。2020/04/02
ピオリーヌ
11
三国志研究家として著名な渡邉氏の自伝的要素も含むこの一冊。もともと横光三国志との出会いから三国志に興味を持ち、徐々に研究テーマを確立させていく下りは単純に読み物としても面白い。院に進む際、師に「俺をとるのか、女をとるのか」と言われ、「女です」と答え、しばらく口をきいてもらえなくなる下りは失礼ながら笑ってしまった。また、渡邉氏が川勝・谷川両氏に強い影響を受けていることを初めて知ることができ、有益。他の研究者のこういった本を読みたくなる。2020/08/05
さとうしん
11
三国志関連の研究で知られる渡邉義浩氏の三国志との出会いから現在までの研究のあゆみ。名士論、儒教国家論といった学説がどういう文脈、問題意識のもとで生み出されてきたかがまとめられており、一研究者の自伝として面白く読める。また論文や研究のテーマをどうやって見つけ、どうやって次のテーマにつなげていくかという、研究手法のサンプルともなっている。2020/06/07