内容説明
現代英国演劇を代表する劇作家、ピーター・シェーファー。パルコ劇場オープニング作品として話題の『ピサロ』(主演=渡辺謙)、アカデミー賞受賞作の原作『アマデウス』。二人の人物のスリリングな対立構造から人間の根源的な葛藤を浮き彫りにする不朽の名作二篇を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Susumu Kobayashi
5
『ピサロ』はインカ帝国を滅ぼしたピサロとインカ王アタウアルパの人間ドラマ。『アマデウス』は映画化されて有名な作品。戯曲ではサリエーリの神への挑戦というテーマがより明確だった。「不公平なる神よ……あなたは敵だ! これからは、〈永遠の敵〉と呼んでやる! そして、ここに誓う、命尽きる日まで、この世でお前にさからうと! 神を懲らしめてやれなくて、何が人間だ?」(p. 348)。ここでのサリエーリは神に挑戦する英雄である。2020/08/21
かなずちラッコ
2
おもしろい。2024/04/08
ぼっせぃー
1
5月に舞台を観て、若干とっちらかった印象を受けたのでこちらを読んでみた。もとの脚本は非常にすっきりとしたもので若干拍子抜けしたのだが、あれはナマの役者に含有された情報の多さだったのだろうか。しかし、宮沢氷魚のアタワルパだけは、脚本から抜け出してきたように、高貴で、透徹で、超越的で、本当にイメージ通りだった。2021/06/25
ピトリ
1
訳が伊丹十三。 インカ帝国はなぜ滅ぼされたのか、、文字を持たないインカ帝国の文化、ゆえに謎が多くて魅力がある。2021/05/20
Moish
1
現代劇の作家の中では、無条件に好きなうちの1人。『アマデウス』は、あまりにも有名な映画版でおなじみ。戯曲として読んでみて、サリエーリの苦悩が痛いほど伝わってきた。改めて、素晴らしい戯曲だと実感。と同時に、ミロシュ・フォアマンが映画として非常にうまく料理していることにも感心。今週末も外出自粛であろうから、DVDでも借りてこようかな。そして、お初の『ピサロ』も、対立する2人の葛藤をテーマに据えた、初期の傑作。ピサロに、アタウアルパへの尊敬、信頼が芽生えるあたりが、胸にグッとくる。これも、いつか舞台で観たい。2020/04/02