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内容説明
今なお、陰に陽に影響力を保持する財閥。幾多の企業が生まれては消える激動の時代、なぜ彼らだけが繁栄を享受するに至ったのか。勃興期から解体まで、日本経済史の権威がその行動原理に鋭く迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
keint
10
昭和維新運動で打倒の対象にされた財閥について知識を得たかったので読んだ。明治時代から戦後までの財閥の歴史が話し言葉でわかりやすくまとまっている。財閥解体の過程、持株会社やメンバシップ雇用などの日本の企業の仕組みが財閥の事業多角化に由来するものであるなどたくさんの近代経済史の知識が得られた。あまり本を読まないサラリーマンにも企業の歴史という題材のため、ビジネス書の一種としておすすめできる歴史本である。2020/05/31
筑紫の國造
8
経済史家による、近代日本の経済を動かした財閥の外観史。江戸時代の有名商人から明治に勃興した新興まで、財閥は当初政治と結びついた政商として始まった。やがて彼らはコンツェルンとなり、日本の経済を支える存在となる。しかし敗戦によってその形式は終焉を迎え、新しい企業形態として復活することになる。時代の影響を受けた財閥がいかに変遷してきたのか、元は講義録なので語り口が非常にソフトでわかりやすい。ただ、時代が財閥に与えた影響だけでなく、財閥が時代に与えた影響についてもう少し知りたかった。2024/10/26
元気伊勢子
7
無理をして読まなくてもいいのかもしれないが、経済音痴なのが気になり、読んではみたものの自分が思っていた内容とは違い、あまり頭には入らなかったけれど、財閥が今の日本の会社の基礎を作った一面もあると言うことだけ理解した。2022/08/10
maqiso
5
明治初期の事業家は政府や旧大名家と結びついていたが、官業払下げなどで多角化を図り、大戦と金融恐慌を経て三井・三菱・住友の三大財閥のみが残った。他の企業は専門経営家の不足や借入金への依存によって破綻・縮小していった。三大財閥は持株会社を頂点に子会社・孫会社が多くの業種に広がる形態を取ったが、規模が拡大すると本社の資金では子会社への投資を賄えず、子会社株の売却も行われた。戦後の企業集団とは異なり、戦前の財閥は同族の所有物という面が強かった。破天荒なエピソードが多くて面白い。2024/07/17
熱東風(あちこち)
5
有益だった。/財閥の歴史を分かりやすく解説してくれている。/日本の近代政治史が好きな自分にとっては、財閥といえば真っ先に思い出すのが金解禁崩壊の際の三井によるドル買いだが、本書を読むと、三井は釈明しているものの、商いの行動として当然のことをしたままでだというのもやはり苦しい言い訳にしか聞こえないということ。2022/09/10