内容説明
原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した……。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された! 次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか。好評、金田一耕助ものに続く由利先生シリーズの第一弾! 表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
79
再読。由利先生最後の事件にして著者の戦後本格の黎明を告げる一編。金田一耕助シリーズがあまりにも有名なためその影に隠れるような形になっているが、コントラバスケースから出てきた死体というセンセーショナルな一面に加え、東京=大阪間を行き来する箱の行方という地に足がついた魅力的な謎は只事ではない。人によっては本陣よりこちらを選ぶのもよくわかる。事件自体はクロフツの『樽』や鮎川哲也の『黒いトランク』と同系統だけど、後者程煩瑣ではなく、移動の動機、トリック共によく考えればわかるのも素晴らしい。何度も読み返したい一冊。2022/07/16
涼
74
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/10/post-fb78eb.html 横溝正史に金田一耕助以外の探偵がいたとは、知りませんでした。シリーズのようです。2023/10/28
森オサム
63
由利麟太郎シリーズ初読。舞台は昭和12年、作品の発表は昭和21年(併録の短編は昭和8年発表の作)、しかし時代の違いを考慮すれば、今でも十分楽しめる作品だと思います。表題作は読者への挑戦を挟む本格探偵物で、トリックや犯人の意外さはなかなか面白かった。怪奇的、耽美的な作風は作者の持ち味で、その雰囲気はいずれにしても濃く漂うが、特に短編の2作品では、悪夢に迷い込んだ様に翻弄されてしまった。長短編でタイプが違うけれど、他作品はどちら寄りなんだろうか?。久々に横溝ワールドに触れ、金田一耕助シリーズも読みたくなった。2020/07/14
たぬ
45
☆4 横溝正史27冊目。由利麟太郎シリーズで3編収録。コントラバスのケースに入っていたってゴーンさんじゃないんだから。土屋マネの手記はやさぐれ感が漂っていてなかなか良かった。藤本君殺しが曖昧なままなのはマイナス。「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」はミステリアスな美女が鍵になってる。横溝さん美女好きだね(私も好きです)。2021/07/14
カノコ
30
日本屈指のオペラ歌手の死体が、砂と薔薇の花弁と共にコントラバスケースの中から発見された。由利麟太郎シリーズ作品。死体の装飾が魅力的なことはもちろん、楽譜の暗号や犯行現場の謎など、本格探偵小説の醍醐味が全て詰まった傑作だった。東京・大阪間を行き来しながら、新事実が発覚するたびに事件の様相が変わりゆくのがとても面白い。由利作品を読むのは初めてだったが、探偵として非常にスマート。複雑な事件ではあるが回答編も端正で、清々しく驚くことができた。同時収録の「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」も、退廃的で耽美な雰囲気が良い。2023/07/16




