内容説明
一人のラブドール職人と、彼が一目で恋に落ち結婚した妻との日々を描いたタナダユキの初オリジナル小説。型破りな設定と衝撃的な展開の中で、男女が強く惹かれ合い、そして時間とともに変わっていく感情と関係を繊細に描いた物語は、2008年に雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載されるやいなや、多くの話題と共感を呼んだ。その傑作小説がこの度、原作者であるタナダユキ自らが脚本・監督を手掛け映画化された。主人公・哲雄に高橋一生、哲雄の妻を演じるのは蒼井優。変わりゆく男女の感情をリアルに映し出す、美しくも儚い大人のラブストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyaoko
83
映画化と知って購入。こ、こういう始まりかいな!と初っ端から驚き。しかし、まぁ、この主人公、バっカだなぁ。ほんっと、救いようのないバカ亭主だ。対して妻の園子と来たら、なんでそこまで尽くすんだよ!と、イライラするよりも可愛そうで、悲しくて、ただ、ただ、園子の最期の幸せを祈って読んだ。あとがきと、みうらじゅん解説まで読むと読後感は良いです。みうらじゅん、大事。現実にはこういう、美人で料理上手で、浮気を許す奥さんはいませんよ〜。2020/03/21
いたろう
64
先に映画を観ていたのでストーリーは知っていたが、小説の方が、細部が詳しく書かれていて、映画の世界を更に深掘りして見るかのよう。タナダユキ監督が、この小説を書いてから、自身で映画化するまで、実に10年以上、そもそも、最初から映画化するつもりだったのかどうかも分からない。小説では、哲雄のラブドール開発の試行錯誤の状況が詳細に語られ、まるでラブドール開発のお仕事小説のようにも思えてくる。そして、映画も小説も、園子の死で始まるが、そこに至る状況が、小説の方がずっと詳しい。そこは、映画でもしっかり描いて欲しかった。2021/10/31
Kei
17
よかった…早く映画が観たい!蒼井優ちゃんが演じる園子はどんなだろう。2019/12/31
ねこけし
16
映画を観て、良かったので原作も。正直、ラブドールとは何ぞやという状態だったけれど、いやらしさもなく人間の本質を丁寧に描いた話だと思った。いつも思うけれど、性と生はとても近くて誰しもが通る道の様に感じる。映画は原作の世界観をそのままに、美しい生が描かれていた。個人的にはこのあとてつおがどの様に生きていくのかが気になるけれど、てつおは園子との思い出を胸に生きていく力があると感じた。2022/06/27
ぬぬ
16
夫婦って難しい。そして男性は何で釣った魚に餌をあげない?浮気だってしてたらわかる。女性はそんな馬鹿じゃない。本書は主人公の妻が腹上死するところから始まる。何言ってんの?っという感じですが、奥さんは絶頂の中で事切れたと言う訳です。これは夫婦がすれ違い、ぶつかり合い、歩み寄り、「死」を受け入れていくお話。独身の私が夫婦を語るのは難しいけど、夫婦の究極の愛、限界の愛を描いている気がしました。命が擦り減ろうともどんな形であれ愛する人と繋がっていたい…あと、毎年同じ場所にお花見に行く夫婦って素敵だなって思いました。2019/12/15