内容説明
政治に〈嘘〉がつきものなのはなぜか。絶対の権力というものがあるとすれば、嘘はいらない。それなりの反対勢力野党や異議申し立てがあるからこそ、それを迂回するために嘘が必要となり、反対する野党や異議申し立ての側も、権力と闘うために嘘を武器にするのだ。もちろん嘘には害があり、特に危険な嘘もある。世界中に嘘が横行する今、近現代の日本の経験は、嘘を減らし、嘘を生き延びるための教訓への対応策と対抗策の格好の素材となるはずだ。複数政党政治が成立するための条件と地域社会のあるべき未来像も、そこから見えてくる。
目次
はじめに
Ⅰ 〈嘘〉の起源――生真面目な社会
歴史をとらえる
第1章 職分から政党への五〇〇年
Ⅱ レトリックの効用――〈嘘〉の明治史
横着な〈嘘〉への対処法
第2章 福地櫻痴の挑戦
第3章 循環の観念
第4章 五/七/五で嘘を切る
Ⅲ 野党 存続の条件
政党の〈嘘〉の功罪
第5章 複数政党政治を支える嘘
Ⅳ 地方統治の作法
〈嘘〉のある号令と、呼応する人々
第6章 人類を鼓舞してきたもの
第7章 受益と負担の均衡を求めて――近現代日本の地域社会
補章 昆虫化日本 越冬始末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
16
週刊東洋経済の著者インタビューを見て図書館で借りました。始めに断っておくと、題名から興味を覚える人は多いと思いますが、文体にクセがあり、取り上げる題材が馴染みにくい明治時代の政治・政党の周縁状況が中心で、読む人を選んでしまうと感じました。唯主題は的確です。嘘には「必死の嘘」と「横着な嘘」があり、特に問題は後者とみること。見る人が見れば分かるが、語る人に権勢があるため公に罷り通ってしまう嘘。日本は、横着な嘘の弊害が他国に比べ大きく必死の嘘に変化しやすいと言います。それへの著者の処方箋はレトリック。ここは同感2020/05/31
politics
5
近代日本政治史における「嘘」について政党政治家や政治小説など多彩な文脈から読み取っていく一冊。正直やや難解な印象ではあるものの、内容は面白かった。特に議論の前提となる部分で職分、結社、政党と発展していくとの指摘は、やや強引に感じる部分もあったが、興味深い。進歩党系政治家の比較部分や地方自治の章などは現代の政治にも活かせる内容があるものと思う。2020/08/23
バルジ
3
ちょっと抽象的というのが正直な感想。「嘘」を軸にその「嘘」が横行する政治を歴史的に俯瞰している。第5章の犬養毅と安達謙蔵の対比列伝が個人的に好きな部分。同じ進歩党系として政治キャリアをスタートさせた犬養と安達だが、その後小政党の領袖として時に政策より政治的打算を全面に出した犬養と、大政党の党人派として党務に精励した安達の姿が交錯していて面白い。2020/03/22
cochou
1
最後の地方の負担と受益の話が面白い。2025/08/18
spanasu
1
第3部は『自由主義の政治家と政治思想』にある筆者の犬養と安達についての論文、第4部は筆者の社研時代のローカルガバナンスについての論文がもとになっている。第3部の犬養は懐に飛び込むことで仲間を作るという野党拡大の手法を実行し、安達は連立相手を理由に党人派に我慢させそれゆえに弱いとしていて興味深い。第2部が本書の題名通りのテーマであり、野党を支えたレトリックを描いており、急がば回れというパラドックスを描くことで野党が政権を目指しつつ野党に留まることを正当化した政教社のレトリックが印象に残った。2020/03/24
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