内容説明
かつて政令指定都市といえば、横浜や京都など日本を代表する「華やかな百万都市」を意味した。しかし市町村合併推進のため、従来のイメージからほど遠い都市が次々移行した結果、その数は二〇に達した。一方、近年の経済的停滞により税収は激減し、老朽化した施設や生活保護への対応が重荷となっている。「大阪都構想」などの改革で大都市は甦るのか――。歴史や統計、インタビューから、日本の大都市統治を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
16
「そうか、そうだったのか」が得られる本。◇自分は大阪生まれ大阪育ちだけど、就職後転々としたので、考えてみると大阪市に税金を払ったことはない。これまで住んだいくつかの指定市・衛星都市と大して変わらんだろ、と勝手に思い込んでいたが、大きな間違いと思い知らされた。税収構成にせよ支出の状況にせよ、全然違う。外にいると唐突に見える「都構想」、是非はともかく、変えんとあかん状態だわな、こりゃ。やはりファクトは強いわ。◇山の中まで市域の神戸や京都を変と思ってきたけれど、今の制度上はその方が正解、というのには膝を打った。2013/09/22
雲をみるひと
7
指定都市について、成り立ちと課題、最近の取組、動きを中心に論じた本。 前半の指定都市間の比較よりも大阪にフォーカスした後半部の方が迫力がある。 ともすれば一種のパフォーマンスかとも思っていた大阪都構想の背景がよくわかった。2019/05/08
ぐっち
7
政令指定都市ってよく聞くけどどういう制度なのか知らなかったので読んでみた。制度自体が曖昧なまま始まったので政令指定都市が乱立してしまったことがわかった。2014/12/13
takizawa
7
大都市制度をテーマにしている点で砂原庸介『大阪』と似ているが,砂原本よりは政令指定都市の解説に紙幅が割かれており,読む人を選ばないかも。本書は政令指定都市の膨張には懐疑的なスタンスだ。確かに大阪市や横浜市と過疎地域を含む地方都市を同じ枠組で規律するには無理があるだろう。政令指定都市それぞれの特色を主成分分析をはじめとする実証データにより論証していく過程が鮮やか。横浜市と大阪市・名古屋市・福岡市に近隣市にリソースを供給する側かされる側かという違いがあるというのは重要な指摘じゃないかな。2013/08/24
きぅり
6
これだけあちこちで人口要件だけ満たした政令指定都市が増えたら、政令市指定=エルメスのバッグみたいなもので、女子大生でも持ってまーす…みたいな。当初の目的(大都市問題への対処)からは外れて、単なるステータスに成り下がってる問題点が出てきており、大都市って何だ?と、この本読むと考えさせられる。大都市は昼間人口増加に対処させられるのに、大都市で稼いだお金はベッドタウンに刈られて(住民税は居住他に納付)いるというのに、ふるさと納税なんてされたらやってられん!って怒りたくもなるわな…権平が種蒔きゃカラスがカー。2016/07/16