内容説明
地球の面積の7割以上を占める海。大航海時代以来、その覇権をめぐって、多くの国々が鎬を削ってきた。スペイン、オランダ、イギリス、二度の大戦を経て頂点に君臨するアメリカ。そして国際ルールへ挑戦する中国……。本書は、航路や資源、国際的な法制度など多様な論点から、400年に及ぶ海をめぐる激動の歴史を描き出す。各国の思惑が交錯し、形作られてきた海洋秩序を前にして、海に囲まれた日本はどう向き合うべきか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
58
海洋ルールについてはその利用価値に気がついたもの勝ち的な要素が強かったことが印象に残った。アメリカがなぜ強国であるのかも、世界史を本文でおさらいする中で理解できた。海上・海中・深海の覇権争いという概念は、比較的新しいものだということに気づかされる。2019/12/12
kk
38
各国海洋覇権の消長や国際海洋秩序の発展を概観しつつ、最近の中国の動向とそれに向き合う日本の海洋法執行の努力について解説。基本的に「浅く広く」ですが、それにしても、これだけ時間的・空間的・事項的に幅のある事象を一冊の新書にまとめ上げるって、並大抵のことじゃなかったと思います。オリジナル原稿が膨大になったので編集の方が「執刀医」として大鉈を振るわれた由ですが、著者の切ない気持ち、お察しします。これだけの本、新書だけではもったいないので、カット分を併せ、注を附してハードカバーに仕立て直したらステキかも。2020/02/24
yyrn
28
誰だって自分の思い通りに周りを動かしたいと思っている。大国はそれが出来るから大国と言われる訳で、19世紀ではイギリスが、20世紀ではアメリカが、自国に都合よく海上の支配ルールを設定して利益を独占したのだから、現代の中国が国連海洋法条約を無視し、裁定にも従わず、南シナ海で傍若無人な振る舞いを続けていることを批判できないような気もするが、英国や米国の定めた勝手なルールがその後の領海と公海、領海の無害通航、大陸棚の利用などの海洋秩序の形成に役立っているところが、身勝手な中国との違いか。う~ん、でも五十歩百歩か?2020/02/27
サケ太
27
領海という概念がいつ頃形成されたのか。「孤立無援主義」から「世界の警察」へ変遷したアメリカの動き。鯨油、石油などに需要が変わった事で動く海のパワーバランス。そのバランスを定めるための様々な取り決め。現代の海洋事情に繋がる四百年の歴史。 現代中国のやり方についても説明されているのはありがたい。2020/01/04
coolflat
26
スペインとポルトガルによる大西洋の分割(トルデシリャス条約)、オランダの法学者グロティウスがポルトガルによる海洋支配を否定する目的で発表した「海洋自由論」、オランダ人など外国人の漁船をイギリスの沿岸沖合から締め出すためにイギリスが主張した「航海法」、イギリスによる海洋帝国の建設など、大航海時代に始まる海洋覇権の歴史を、大国の変遷や海洋秩序の形成から解き明かしている。なお、トルーマン宣言以後は、海洋が支配される時代から管理される時代への移行期であり、制度論、組織論、法律論、政策論など、現状分析が中心となる。2020/10/19
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