内容説明
後の天智天皇の子として大化改新の年に誕生した少女は、五歳のときに祖父が自害し、心痛の余り母が没するという悲劇を体験する。十三歳で叔父の大海人皇子(後の天武天皇)と結婚。有間皇子の謀反や白村江の戦いの後、二十七歳のとき、古代最大の争乱である壬申の乱を夫と共に起こし、弟・大友皇子に勝利する。その後は中央集権化に邁進し、兄弟継承だった皇位を父子継承に転換させた。古代国家を形作った女帝の実像とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
56
大学教授による解説書なのに、推理小説を読むような抜群の面白さがある。著者は、ご自身の解釈・考えを明確に表明され、とても切れ味よく爽快。確かに、壬申の乱の挙兵、大津皇子の自害、文武天皇の即位で、鸕野讚良(持統天皇)の役割を過大評価することに異論はあるだろう。また、倭国から日本への国名変更、天皇相承ルールの変更など、「この国」を方向づけた女帝として、同時代の則天武后に擬する気持ちはわかるが、案外、我が子・草壁を溺愛する一人の母だったかもしれないとも思う。そんなふうに歴史に思いを巡らす楽しみを満喫できる一冊だ。2020/01/24
Book & Travel
54
持統天皇については小説などで何度か読んで、夫の遺志を継いで律令政治を推し進める力強い女帝というイメージがあった。しかし本書を読んで感じたのは情念の人。壬申の乱の勝利によって即位した夫・天武天皇から息子の草壁皇子、草壁の死後はその子の文武天皇と、天武系の確立に手を尽くした持統天皇。即位のいきさつや頻繁な吉野行幸、万葉集編纂がいずれもそこに結び付くという見方は興味深かった。大化改新から白鳳時代前後の歴史をじっくり読め、持統の母の一族である蘇我倉家や、壬申前の大海人皇子の立場など理解を深められたのも良かった。2020/02/18
井月 奎(いづき けい)
45
持統天皇は推古天皇、厩戸皇子が願った朝廷による中央集権、それを形にしだした父、天智天皇と夫の天武天皇の業績を継ぎ見事に成しえました。その影では為政のためと、母親としての偏愛の双方から甥である大津皇子を策略にはめて亡き者とします。自らの息子、草壁皇子よりもすべてにおいて天皇としての質を上回り持つ甥、その存在に恐怖を感じて許せなかったのです。自らが極めて優れた為政者であり、人の資質を見抜くこともできるからこその残酷、それもまた歴史や国を作るときには必要なのでしょう。持統天皇の眠りが安らかであることを祈ります。2020/05/04
terve
42
日本の皇位継承における一つの流れを作った女帝についてまとめた一書。大海人皇子(天武天皇)への愛情の深さを感じる筆致かつ、草壁皇子を跡継ぎにしようという持統天皇の強い意志を感じます。ただ、「わたくしは~」という自己主張がかなり強く、少し前に出すぎという印象を受けます。一つの視点としては面白いですが。ただ、筆者の女帝に対する思いには並々ならぬものがあり、使命感をひしひしと感じられるような熱い書きぶりには驚かされます。2019/11/09
Shoji
40
タイトル通り持統天皇について書かれた本です。史実と著者の私見とが入り混じっています。注意して読まなくてはなりません。タイトルに飛びついて買ってはみたものの、途中からは活字を追うだけだった。やや期待外れ。2019/11/27
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