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内容説明
日本人の15歳の読解力はOECD(経済協力開発機構)の学習到達度調査で急落。月に1冊も本を読まない中高生や、電車やバスの移動時間に新聞、文庫本を読まずスマホしか見ない大人たち。町の本屋の数は減る一方。著者いわく、これらは国家全体に及ぶ「読書離れと教養の低下」にほかならない。ITと引き換えにわれわれは何を「殺して」いるのか。それは人間を人間たらしめる情緒、思いやり、そして教養にほかならない。かつて昭和の時代、アメリカ人が日本の書店を訪れ、店内が黒山の人だかりなのを見て仰天したという。この光景をもう一度、取り戻さなければならない。めざすは「書店の復活」である。「国語力なくして国力なし」「町の書店がなぜ大切か」「インターネットの情報で教養は身につかない」「デジタル本は記憶に残らない」。愛国の数学者が独自の直観と分析によって達した結論が日本人の「常識」になったとき、わが国は再び輝きを取り戻すだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
112
図書館本 本にうもれて死ね…、断捨離を批判した箇所が目次の時点で目をひきました。そうですね、役に立たないから捨てるというのは発想の貧困としかいいようがないですね。そして積読万里の長城状態でもよいという自信にも(読むペースをおいこして本が増えていく) 読解力…本当になんで順位がさがったのでしょう?個人的にはスマホ禁止読書強制でも読解力は上がらず、却って読書嫌いが増えると思っています。やはり時間がかかっても良書に出会うことが特効薬ですね。2022/03/26
海月
87
これは期待してなかったけど実に興味深い内容でした。本を読ませる教育。必要だと思います。自分も学生はほとんど本を読んでなく大人になった今後悔しています。高校では朝の10分読書も嫌々でした。ただ内容が楽しいと授業中に隠れて読んだりはしてる破天荒振でしたね。本を読むと同時に電子書籍の話も出てきた。インクの匂いとか本の重みも分かるんですが、電子書籍も案外いい物ですよ。確かに街の本屋さんは閉店余儀なくされるかもしれないですけど著者も僕らも共存していけたらと切に思ってます。暗い部屋でも読めるのは進歩です(笑)2022/04/11
クプクプ
86
藤原正彦はアメリカとイギリスで数学を教えていたので、トランプ元大統領の英語がいかに汚いかは勉強になりました。またイギリスのは数多くのユーモア小説がありますが、ドイツにはなく、ドイツは移民を受け入れて失敗したと書いてあり、世界の現実が少しわかりました。藤原正彦は数学者ですが、子供たちに教えるなら、数学より国語を先に教えるべきだと書いてありました。スマホより本を読むことが大事、本を読むことは孤独を知るということ、人間は孤独から学ぶという言葉は当たっていると感じました。2022/06/14
けんとまん1007
85
基本線は大いに賛成!とにかく、活字を読む、それも本を手にとって読むことは必要だと考えている。本の重さ、質感なども意味があると思う。それを踏まええの教養、リベラルアーツ。ここが、人としての深みになるのだと思う。また、英語教育についても同感。落合陽一さんも言っているように、真のグローバル人材は、英語を話すことではなく、自分の意見をきちんと伝えかつ評価してもらうこと。翻訳機のほうが、遥かに先へ行ってしまうのに。2021/04/17
あすなろ
77
自ら本に手を伸ばす子供を育てるべき。そして読書こそ国防となり国力であると説く藤原氏のインタビュー記事集。読書習慣あり趣味である我々には小気味良いセンテンスが並ぶ。多少極論的なことあれど、僕も読書を忙しくても辛くてもしないという生活をする方に対し、言葉にはしないがすごく惜しい寂しい人生を送っていらっしゃるのだなあと思っています。読書程、自分と向き合い孤独にも向き合い、救われ、血肉となり、擬似体験や納得により人生を豊かにしてくれるものはないのに。なお、本屋を守れという題名より読書論と教育論に近しい本である。2020/03/22