内容説明
【TVアニメ『啄木鳥探偵處』原作!】日本一の高塔として名を馳せる浅草十二階で、幽霊が目撃された――。明治四十二年九月、僕、金田一京助のもとへ石川啄木が持ち込んできた、幽霊騒動を報じる新聞記事。抜群の詩歌の才能を持ちながらも世に認められない啄木は、家族を養うため探偵業をはじめたところだった。その才能にほれ込んでいた僕は、助手役として探偵業に巻き込まれるが、事件は意外な方向へ……。第三回創元推理短編賞受賞作「高塔奇譚」をはじめ、人形の頭が男の喉を咬み切ったという怪事件「忍冬」など、トリックとロジックが冴える五編を収録する傑作連作ミステリ集。/【目次】第一話 高塔奇譚/第二話 忍冬/第三話 鳥人/第四話 逢魔が刻/第五話 魔窟の女/解説=細谷正充
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
石川啄木を探偵役、金田一京助をワトソンとしたミステリ。事件も浅草十二階に出現する幽霊、人を喰う生人形、飛行する手妻師の謎めいた死と明治ならではの文物を活かしていて興味そそられる事間違いなし。ただ啄木を探偵とする必然性があまり感じられないんだよなあ。しかも巻き込まれるのではなく、堂々と探偵事務所の看板を掲げているのにもまた違和感。でもミステリと明治の融合はあまり見ないので、もうそれだけでその違和感は帳消しになります。個人的に面白く読めたのは「忍冬」、「高塔奇譚」は浅草十二階が出るというだけで満足でした。2020/09/14
sin
56
夭折の歌人啄木と国学者金田一のコンビによくある有名人の名を借りた宣伝効果におんぶにだっこなラノベモドキを懸念したが、当時の世相に沿った事件の有り様がバランスよく物語られて『一握の砂』の歌人ならではの論理を披露する啄木の探偵ぶりも様になっている。最終話はお互いの心情のやりとりが秀逸…友を慕う娼婦に処する朴念人なあしらいに「真実を言うのに、態度なんて関係ない」と突き放す啄木、無邪気に無実を受け入れて貰えると過信する金田一の落胆と怒り、真相を明らかにする意外な名探偵はしかし二銭銅貨が伏線としては余りにあからさま2019/09/17
penguin-blue
46
舞台となる時代はけっこう好き。謎の設定も好み。ただ、金田一くん(耕助じゃないよ)の啄木に振り回されっぷりがいかにもその線に感じられてしまってそこがちょっと鼻についてしまった…うーむ。金田一氏の啄木への入れ込みっぷりというか金の貸しっぷり(苦笑)はある程度史実として知っているけど、もうちょっとひょうひょうとしてしかめつらしい方が好み(笑)それでも続編は読んでみたい気もするのだが、史実としての寿命がある以上それが期待できないのは何だか悲しい。2019/09/24
カノコ
41
探偵役に石川啄木、ワトソン役に金田一京助を据えた連作ミステリ短編集。浅草十二階で目撃された幽霊、男の喉を噛みちぎった人形、謎の死を遂げた空飛ぶ男。設定自体はどれも面白いのだが、いかんせん何だか読みにくい。入ってこない。なぜだろう…。啄木の貧困や病苦といった背景のせいもあるかもしれないし、全体的に起伏のない文章のせいかもしれない。しかし、これをアニメ化かあ…。中々渋いチョイスだ。2020/03/10
衛兵
29
石川啄木が探偵役を務めるアニメの原作という事で図書館で借りてきた一冊。啄木が親友の金田一京助から借金をしていたことは有名だが、その京助をワトソン役にするとは、なかなか興味深い。金田一なのにね。ミステリーのトリックとしては、いささか疑問の余地はあったものの、啄木と京助のキャラや二人の友情(部分的にはそれ以上か?)が面白く読めた。確かにアニメにするにはいい題材だと思う。2020/06/13
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