ちくま学芸文庫<br> マタイ受難曲

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ちくま学芸文庫
マタイ受難曲

  • 著者名:礒山雅【著】
  • 価格 ¥1,925(本体¥1,750)
  • 筑摩書房(2020/03発売)
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  • ISBN:9784480098634

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内容説明

荘厳な響きと、雄大な構想により、西洋音楽の歴史において圧倒的な存在感を誇ってきた“マタイ受難曲”。イエスの捕縛から十字架刑、そして復活までの物語を描いたこの作品には、罪を、死を、犠牲を、救済をめぐる人間のドラマがあり、音楽としての価値を超えて、存在そのものの深みに迫ってゆく力がある。いまなお演奏ごとに、そして鑑賞のごとに新たなメッセージが発見され続ける、すぐれて現代的なテーマを秘めている。バッハ研究の第一人者が、バッハの手書き譜や所蔵していた神学書など膨大な資料を渉猟し、ひとつひとつの曲を緻密に分析して本国での演奏にまで影響を与えた古典的名著。

目次

序論●第I章 受難と受難曲の歴史――バッハまで●第II章 《マタイ受難曲》の資料と作曲年代●第III章 ピカンダーによる自由詩●第IV章 歌詞のルーツを探って●第V章 受け継がれるコラールの伝統)●本論●第I章 本論(花婿が、小羊のように――冒頭合唱曲の世界〈第1曲〉●第II章 受難の預言〈第2曲‐第4曲b〉●第III章 香油を注ぐ女〈第4曲c‐第6曲〉●第IV章 血を流すイエスの心〈第7曲‐第8曲〉●第V章 最後の晩餐〈第9曲a‐第13曲〉●第VI章 オリーブ山にて〈第14曲‐第17曲〉●第IIV章 ゲツセマネの園の苦悩〈第18曲‐第26曲〉●第VIII章 捕縛〈第26曲‐第29曲〉●第IX章 イエスを探す美女〈第30曲‐第37曲〉●第X章 明暗を分けた悔い改め〈第38曲‐第42曲〉●第XI章 流れ下る愛〈第43曲‐第49曲〉●第XII章 血にまみれた十字架〈第50曲a‐第58曲e〉●第XIII章 イエスの死〈第59曲‐第63曲b〉●第XIV章 おのが心への埋葬〈第63曲c‐第68曲〉)●補章 レコード/CDによる演奏の歴史●あとがき●バッハの神学蔵書一覧●《マタイ受難曲》パート譜一覧●《マタイ受難曲》の数象徴に関するマルティーン・ヤンゼンの説●バッハ以前の主な《マタイ受難曲》●文献目録●人名索引●《マタイ受難曲》対訳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

59
バッハの『マタイ受難曲』についての本。感じたのは、『マタイ』はバッハの深い聖書理解と鋭い「人間的問題意識」によって成り立っているのだということ。イエスが捕縛されたことを歌うアリアで通奏低音を排除して「支えを失った心の不安を象徴する」など歌詞と密接に結び付いた作曲法は勿論、受難を語る聖句場面、聴き手の私達を象徴するような視点や客観的な考察を導入した自由詩曲とコラールが一体となることで、犠牲と救済のドラマが真に迫って胸に響いてくるのだということがよく分かり、大好きな『マタイ』への理解が深まったように思います。2020/09/08

松本直哉

31
ユダの自殺のあとのバスのアリアで、ユダを放蕩息子にたとえた歌詞をめぐって、ユダにもまた悔恨があったのだから許されるべきだというメッセージを読み取る。我々もまた、いつでもユダになりうる存在であり、彼への断罪は自分たち自身にもはねかえる、という解釈は、ルターにはなかったもの。ルターから2世紀を経て、プロテスタント教会の聖書解釈がどのように変化していたのか、同時代の教会の思想をバッハがどのように音楽に取り入れていったのか、作曲家の蔵書目録の調査を通じて明らかにしていくところに、大いに興味を持った。2021/07/28

よみこ

17
読了まで時間がかかった。というのも読んでは聞き、聞いては読み、聖書を開き…、という受験勉強のようなことをしていたからだ。知的好奇心を刺激される書であった。詳細な作品解説書というだけでなく、伝記であり歴史書であり宗教書でさえあった。今は失われた膨大なバッハの蔵書から、バッハが音楽と同等に神学の研究に熱心でありどの音楽家よりも通じていたかがわかる。そこがバッハと他の音楽家の違いではないかとさえ思う。ユダと放蕩息子の関係やイエス処刑後の天変地異の場面、そして最終合唱曲での信仰告白のエピソードなど、忘れられない。2020/04/15

うた

10
マタイ受難曲の比類ない構成を、歴史、四つの福音書や歌詞、調性の特徴で丁寧に分析して、読み解いた一冊。宗教楽曲に限らず、音楽というのはこれほどに意識的に作られるということが理解でき、文句のない良書だと思う。巻末の各録音ごとの磯山先生の短評も興味深い。リヒターが定番であるが、合唱の面で傷がないわけでないというのが意外。ショルティが最高とのこと。彼のブルックナーの9番を愛聴しているので、是非聴いておきたいところだ。2025/09/24

やま

10
ここで紹介された本です。ようやく読み終えました。◆聖書の意味、曲の構成の意味、十字架音型、バッハが読んでいた本、歌詞がどこからとられてきたのかといったことがとにかく細かく書かれていて、とても勉強になりました。◆後ろに37盤の録音と補筆16盤の解説があって、先日の鈴木優人のマタイにはどのような評をしただろうか。その評を読みたかったと思いました。磯山氏が不慮の事故で無くなられたことがとても残念です。2021/06/28

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