内容説明
気鋭のアイルランド研究者により、これまでばらつきのあった人名などの固有名詞をなるべく原型に近い形で統一。独自の世界観を忠実に再現した決定版。話題の海外民話集「夜ふけに読みたいおとぎ話」シリーズに、アイルランド民話集が仲間入り。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
56
序盤の写字生アイドと三代目パングルとの会話で修道院で如何に猫が頼りにされていたのかが分かるのは中々、愛嬌がありますね。ケリー・リンクの短編の素になった「小さな白い猫」ですが、忠告を反故にしては愛する姫の救助を忘れる王子に呆れてしまう。でも目先の自分の欲で愛を反故にするなんて人間ならではですし、仕方ないか。「ものぐさな美しい娘とおばさんたち」は煌びやかな上っ面だけを重視し、庶民生活の実態を知らないが故に傲慢な王族には胸が悪くなりました。しかし、そんな言葉に対する皮肉が最後の締めの言葉で効かせているのが最高!2025/09/05
あたびー
32
#日本怪奇幻想読者クラブ 「夜ふけに読みたい」シリーズ第3弾、アイルランド編です。前半は民話的おとぎ話、後半はアイルランドで12を争う英雄フィンの子供時代〜若い日の物語。今回も読み聞かせを前提としているので、読み聞かせ難易度がついています。おとぎ話はどれも楽しくて不思議なお話です。「ものぐさな美しい娘とおばさんたち」は特にツボ。ちっとも働かない娘が恥ずかしくて母親が王子嘘をついたせいで過大な期待を背負わされた娘を助けたのは…ルンペルスティルツヒェンやトムチットトットと同じ系統だが、こっちのオチのほうが好き2020/11/22
Mumiu
22
持っているだけで、ほわんとあたたかな気分になる本。「夜更けに読みたい」なんてアイルランドという土地を考えても暖炉の炎が赤々としてる中でちょっとずつページをめくる風景が浮かんできます。ということで4年ほど寝かせてしまった1冊。説明できないような不思議もあちらこちらみられるけど、そういうこともあるよねな時代だったり、まさに語り継がれて物語。2025/12/12
ともブン
15
アイルランドのお伽話集。この平凡社のシリーズ同様、完全な勧善懲悪ではなくて、約束破りが許されたり依怙贔屓もあったりする。遠野物語にも感じた理不尽さがここにも見られて興味深い。救われない人物や一方的に悪者扱いで終わってしまう人物なんかもいるのがリアルな読後感を残している。この本の後半はあるヒーロー伝説で少しばかり冗長かな。それほどアイルランドにとっての重要な物語なのかも。彼の国出身者が知人にいるので今度聞いてみよう。2023/08/29
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
14
夜ふけに読みたいシリーズ?のアイルランド民話 『 小さな白い猫 / ものぐさな美しい娘とおばさんたち / ヤギ皮をまとう少年 / 金の槍 / 語れなくなった語り部 / カレルの子トゥアンの物語 / フィンの少年時代 / ブランの誕生 / オシーンの母 』2020/06/03




