内容説明
紅梅の甘さをたっぷり含んだ香りと、白梅の高貴な気品を感じる淡い香り「春」。夏料理を代表する寿司を食べて泣いた、高校一年のアメリカ留学前夜「夏」。蕎麦打ち体験で触れた新蕎麦の生地は、絹の感触「秋」。火の用心を呼びかける夜回りと拍子木の音が、安堵のベールを張っていく「冬」。4歳で視力を失った著者の瑞瑞しい表現力と感性が光る。音、匂い、手触り、味の四感で、四季を味わうエッセイ集。
目次
春を聴く 私の春告げ鳥
春に触れる 野草を摘みに
春の匂い 「のたり 〃 」と潮の香り
春を食べる 幸せのストロベリー
夏を食べる 涙のお寿司物語
夏を聴く 「私の滝」
夏に触れる 裸足に捧げる賛歌
夏の匂い 空が香る
秋を聴く 驚きの音さまざま
秋の匂い 大きな香り、小さな香り
秋を食べる ちぎれ蕎麦打ち
秋に触れる 触れて読む
冬を聴く 冬の夜の音
冬を食べる スウィーツで乾杯
冬に触れる 氷の畔の一期一会
冬の匂い 楽器の香り
あとがき
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
okatake
2
scenelessの麻由子さんの四季だより 味覚、嗅覚、聴覚、触覚の4感を通じて四季を感じるエッセイ。 視覚を失った彼女ではありますが、四季を読みとり、楽しみ生活する技術は凄い、そしてその感覚をこうやって私たちと共有してくださる文章術も。 この先も彼女のエッセイを通じて日本の豊かな自然と日々の何事でもない生活を感じることができることを願っています。2024/09/12
ねむりねずみ
1
いつか見た国語の過去問から知った著者。「聴く」「匂い」「食べる」「触れる」――感覚鋭く、柔らかく、きめ細かく、四季を描き出す。タイトルの「365日」は言い過ぎ。2021/10/07
あらいぐま
1
この人の本を読むと、感性が刺激される。外に行って、感性を研ぎ澄ましたくなる。すごい!