文春e-book<br> エンペラー・ファイル 天皇三代の情報戦争

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文春e-book
エンペラー・ファイル 天皇三代の情報戦争

  • 著者名:徳本栄一郎【著】
  • 価格 ¥1,500(本体¥1,364)
  • 文藝春秋(2020/02発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163911779

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内容説明

「米国人は立憲君主をまったく理解していない」「君主は単にゴム印を押す存在ではない」(英外務省内部文書)
戦後、GHQによって「象徴」とされた天皇のあり方について、立憲君主制の老舗の英国は、そんな表現で、日本の宮内庁に助言をしていた。
そこで、昭和天皇はどう動いたのか――。

本書は、近年機密解除された英米の公文書をたんねんに読み解き、奇しき縁で筆者にもたらされた昭和天皇のインタビューテープを繰り返し聞くことで得られた、まったく新しい「象徴」天皇の姿である。

戦前、政府、軍部の上奏を信頼した結果、未曾有の敗戦を招いてしまったという苦い経験から、戦後の昭和天皇は自ら世界情勢の情報を集め始めた。とくに、国際共産主義に対する警戒心を隠そうともせず、英米の情報機関幹部と情報交換をするさまは、あたかも天皇自身が国際政治のプレイヤーであったかのようだ。
さらに、次代を担う皇太子には、自分で考え、自分の意思で行動することを教えるため、バイニング夫人の招聘するなど、新しい教育環境を整えた。
昭和、平成と受け継がれた、新しい天皇像は、海外留学を経験した始めての天皇である令和の御世の新天皇のもとで今、花開こうとしている。

天皇三代の行動を「インテリジェンス」という側面から再構築すると、「象徴」という言葉だけではとらえられない、本当の君主像が見えてくる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hitotak

8
昭和天皇は実は並々ならぬ政治的センスを持ち、戦後象徴天皇となってからも正規の内奏とは別ルートの、精度の高い国際情報を手に入れていたという。その情報を届けていた国内外の人々、敗戦後に天皇制存続のために動いた組織や個人の思いなどが著者の推測も交えて書かれている。平成、令和と続く中、現在の天皇家の国際情報の受け方などは当然書かれていないが、同様に王室を戴く英国が、いかに天皇家と立憲君主制への深い理解があるのか、現天皇陛下の英国留学時代に英政府から受けた(「配当」狙いの)厚遇について書かれた部分が興味深い。2020/08/07

Honey

8
2020年2月発行。 ミステリー仕立てに惹かれ…でも、想像したよりはずっと軽い雰囲気の読み物。バーナード・クリッシャーも、田中清玄もケイ・スガハラも知らなかったので、それなりに収穫はありました。この本に出てくる人名や組織名、今後も注意してみたいと思います。2020/06/22

梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

7
戦後の昭和天皇が田中清玄や外国要人からインテリジェンスを得ていたという話。著者は機密解除文書や天皇の通訳担当者の残した記録等を取り上げつつ解明する。しかし、文中の「皇后美智子妃」という間違った表現を見て、天皇関係本としての信憑性が自分の中ではガクッと落ちてしまった。それ故「とんでも本」の一種か、昭和の裏歴史の発見と言えるのか何とも結論を出せない印象を抱きながら読んだ。留学中の徳仁皇太子が英外務省のトップシークレットとされる場所を訪問した記事は興味深かった。歴史修正主義を警戒する著者の姿勢に共感を覚えた。2021/01/25

Tatsuhito Matsuzaki

3
宮中の通訳を長年務めた人物が残した録音テープ、そこには一般に知られた象徴天皇とは異なる昭和天皇がいた。 昭和から平成、令和の天皇に関わった人々や世界各地に残された文書によって天皇三代に亘る立憲君主としての思想・心情に迫るノンフィクション作。 本書は著者がこれまで「週刊文春」「週刊新潮」「週刊朝日」等で発表したものに新たな情報を加えて再構成したものです。2020/07/04

つかはらあつし

2
皇室の皆様に強く感銘を受けました。2020/03/08

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