講談社文庫 あほうの星

著者名：長崎源之助【著】

講談社（2020/03発売）

• ISBN：9784061380639

内容説明

班長からあほう扱いされるうちに自信をなくしてしまった「八つぁん」、「ハエ」１匹のために命を落した男、あほうの振りをして生き抜こうとした男……。明日も知れぬ戦場での、無力な人間の生き方を活写した「あほうの星」に、姉妹編「ばかばやし」を収録――戦争の中でせいいっぱい生きる庶民の姿を描き続ける、長崎文学の原点というべき代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[無識者]

作品が3篇納められている。個人ではどうしょうもない力による抑圧の中で、犠牲になるあほう3人が描かれる。元々不出来でもない人があるきっかけで不出来の烙印を押され馬鹿にされ、本当に不出来になってしまう人、インテリで冷笑的であったが最後に人間性を取り戻し仲間のために「ハエ」をとりに行くのだが、その為に殺されてしまう人。あほうのふりをすることで危険な仕事から逃げおおせたが、計算が狂いあほうな死に方をしてしまう人…人間が大事にされてないからこその悲惨な結末だが、現代社会にも同じ状況があるのが注目すべき点

2015/12/19