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内容説明
段落を意識すると、読み書きの力だけでなく、聞く力や話す力までも伸ばすことができる。それは、段落に頭の中の思考を整理する「箱」としての役割があり、情報をわかりやすくアウトプットする助けになるからに他ならない。コミュニケーションの質を向上させうる段落のもつ力とその可能性、あるいはWEBに見られる新しい「段落」の形について、日本語研究の第一人者である著者が明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
79
お気に入りの方のレビューを見て、面白そうだしためになりそうだなと。段落と言ったら字下げ、それ以降明確に意識したのはHTMLのPタグくらいな気がする。日本語の段落は曖昧な気がするなと思っていたらそれはその通りで、そもそも英語のパラグラフと日本語の段落は異なるらしい。段落については曖昧さを再確認するような内容ではあったものの、例文やデータ、さらに意見が割れる複数の学者の論を引く等により、その曖昧さを明確にしてくれている点が素晴らしい。参考文献だけでなく、段落用語一覧として巻末にまとめがあるのも親切丁寧な良書!2022/11/08
まちゃ
57
Kindleセールにて、軽い気持ちで手にした一冊。段落の仕組みと作り方のコツを理解することで文章力の向上が図れそうです。勉強になりました。文章を書く事は、書き手の頭にある情報を読み手の頭に届ける情報の引っ越し。この引越しは、「段落」の使い方に掛かっている。紙に印刷される文章の段落(伝統的段落)とスマートフォンなどに表示される文章の段落(先進的段落)の違いも述べられていて新鮮でした。2021/01/16
ネギっ子gen
51
安吾の『堕落論』の書名が元ネタとか。<『堕落論』は戦前から戦後へと変わる節目を捉え、『段落論』は紙の時代から電子の時代へと変わる節目を捉えています。/電子の時代の到来によって日本語の表記の自由度が増し、日本語の段落は大きく変わりました>と。しかし、と続けて著者は書く。<人間が人間であるかぎり、段落の本質は変わりません。人間が考える存在であり、文章が人間の思考の軌跡である以上、つねに段落相当のまとまりは必要になります>とも。形として、段落がふきだしのように変わったとしても、それも、まとまりを表す段落だと。⇒2022/10/12
井月 奎(いづき けい)
46
文法や言葉は時代により変化します。良い悪いではなく、ただ変化していくのです。そしてインターネット、SNSの発達はその変化に拍車をかけている。そのことを教えてくれます。さらにその上で段落を上手く使う方法や読みやすい、良い文章を書くヒントを与えてくれます。2020/12/17
棕櫚木庵
19
1/3) ここで紹介していただき(感謝),段落を中心に据えた文章論は読んだことないなぁと思って,図書館で借りてみた.“段落は引っ越しの時の段ボール箱”というたとえ(p.4)にはストンと納得してしまった.また,段落分けを除去した新聞社説(ニューヨークタイムスと朝日新聞)を示して段落分けをさせた所,元と同じ段落分けをした人がアメリカ人にはある程度いたが,日本人にはいなかったという(p.107).日本語の段落と英語圏の「パラグラフ・ライティング」(p,33)とは違うことを示唆しているように感じた.2022/12/20