南相馬メドレー

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南相馬メドレー

  • 著者名:柳美里【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 第三文明社(2020/02発売)
  • 夏を先取り!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~6/29)
  • ポイント 360pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784476033908

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内容説明

東日本大震災後、福島県南相馬市に転居した作家・柳美里が5年にわたって綴った珠玉のエッセイ47篇。南相馬の臨時災害放送局のラジオパーソナリティを務めたことを機に、現地の高校で講義や演劇指導を行うかたわら、書店兼小劇場をオープンするなど、被災地の人々と生活を共にしつつ歩んだ家族の軌跡。「今日もわたしは、夕陽の赤が静かに広がる南相馬の町を、小声で歌を口ずさみながら歩いています。いま、ここに在る、という自分の位置を確認しながら──」(「あとがき」より)。「南相馬に転居した理由(わけ)」「漂泊の果てに」「フルハウス」「女川駅舎の紙製のベンチ」「縁の糸」「最後の避難所」「『青春五月党』復活」「ある晴れた日に」「悲しみを追悼する」ほか、月刊誌『第三文明』の好評連載を書籍化。

目次

はじめに
二〇一五年
南相馬に転居した理由(わけ)
台所の正方形の窓
漂泊の果てに
二〇一六年
南相馬での年越し
教壇に立つ
三月十一日
記憶の中のおにぎり
信頼の味覚
猫の心、猫の命
九・四キロ
死者と共に
息子の成長と帰るべき場所
「悲しんでいる人たちの前では喜べないよね」
「フルハウス」
常磐線復旧
二〇一七年
他者を希求し、受け容れられるように
先生の雅号は「明雨」
「もう、梨作りをすることはない」
倫理の行き止まり
「あの家を生かしてもらえれば……」
本棚の がり
お墓参り
女川駅舎の紙製のベンチ
大いなる力とあやとり
縁の糸
二〇一八年
良い本との出会い
北海道へと旅立つ息子
真っ白な景色
最後の避難所
五十歳
「青春五月党」復活
稽古開始
再演を誓う
無謀な状況には無謀さを持って立ち向かう
二〇一九年の目標
二〇一九年
ニューヨークでの最期の暮らし
山折哲雄さんとの対談
「りょう」として語る自らの体験
「静物画」東京公演を終えて
小高の桜並木
昆虫好きな息子
「転」の連なり
共に過ごせる今
「ある晴れた日に」
「こういう時こそ、小説や芝居が必要だ」
悲しみを追悼する
知ったことの責任
あとがき
謝辞
著者略歴

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃちゃ

108
心に沁みる良いエッセイだった。声高に原発の非人道性を叫ぶのではなく、まず自らの役割(使命)を考える。2015年4月、柳美里さんは住み慣れた鎌倉から福島県南相馬市に転居。福島第一原発から16㎞地点の「警戒区域」に書店を開き、地元の高校生たちと演劇集団を立ち上げた。「『他者の痛み』に責任を持つ」ためには、まずそこで暮らし苦楽を共にすることが一番だと考えた。「生活の中にこそ、絶望を擦り抜ける小道がある」在日という自らの痛みと共振させつつ、その「小道」を作家・演劇家として探る。彼女の覚悟と気概が心に迫る作品だ。2023/03/25

アキ

83
南相馬市、東日本大震災後の旧警戒地区。2015年鎌倉から息子と転居し、2018年4月本屋「フルハウス」を開店。その日々を書き綴った日誌。なぜわざわざそんなところへ転居したのか?それには彼女の理由がある。そこで本屋を開き、劇団を作り地元の高校生と共に過ごす。「わたしがこの世に存在する意味は、わたしという個の内にあるのではない。わたしが何をしたいのか、何をすべきなのかは、わたしが決めるべきことではない」。震災時、何があったのか知ったことには責任が伴う。知ったことの責任を背中から降ろさないという覚悟が清々しい。2020/05/13

竹園和明

41
「被災地に住む方々の苦楽は暮らしの中にあるのだから、暮らしを共にしなければその苦楽を知る事は出来ない」という思いから、鎌倉の持ち家を出て福島県南相馬に移住。そんな事出来ますか?。その心意気に感服至極。そして南相馬市小高駅前に集いの場としてブックカフェを開設。高校では道徳の授業を担当し、高校生らと演劇集団を立ち上げました。電車で県内外のあちこちへ出向くフットワークの軽さも驚き。人の痛みを知る著者の活動は、きっと南相馬に大きな大きな足跡を遺すでしょう。穏やかな文体で新たな日々を綴る、素晴らしいエッセイ!2023/04/10

彼岸花

33
柳美里さんが鎌倉から南相馬に転居して、来年でもう10年になる。時の流れの早さを感じつつ、彼女の決断力と精神力の強さには頭が下がる。全国的にも激減している本屋を経営、劇団を復活させ、作家の仕事も継続、フル回転状態だ。現在も活躍の領域を広げていることだろう。改めて感じたことは、「福島の原発事故は終わっていない」のだ。それにより、人々が分断されることがあってはならない。“「知る」ことに責任が伴う”という言葉がずしりときた。作者の実直な生き様と繊細な文章がとけ合い、私の心のひだに触れた。続編の刊行を期待したい。2024/06/18

鴨ミール

26
なんとなく毛嫌いしていた作家さんだったが、読んでみたら文章の力に圧倒された。 彼女は自分が何をやりたいかではなくて、縁によって導かれたように進んでいく。そのバイタリティーも凄い。鎌倉の家を売って南相馬に移住し、高校生たちや地元の人のためにと本屋を開き、演劇ユニットを復活させて、地元の高校生たちの胸のうちにある苦しみ、悲しみを演劇によって吐き出させる。いくつもの言葉をこの本からいただきました。他人に寄り添う人には、人が集まるんだなぁ。2021/01/21

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