内容説明
日本には、日本海側を中心に、豪雪地帯と呼ばれる地域がたくさんあります。スキーやスノーボードで雪を楽しむ人もいれば、雪かきや雪下ろしに苦労する人、雪や雪解け水を農業などに利用する人もいます。
そんな身近な雪の「これから」に大きく関わる存在なのが、地球温暖化です。気温が上がると、降雪は減ってしまうのでしょうか? どうやら、そんな単純なことではないようなのです。日本でただ一人、雪と地球温暖化を専門に研究する著者が、雪と地球温暖化の関係に迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
91
日本の雪のいま、雪の観測、異常気象と温暖化が雪の降り方に変化を与える、地球温暖化と雪の未来。各章にわかりやすく解説されている。毎年数十センチは積もっていた雪も私の住む地域では去年、今年とほとんど降らない。それはありがたいのだけど一方では温暖化が急速に進んでいるのかもしれない。と思いきや逆にドカ雪も増えるかもしれないということだ。それだけ雪の予報は難しいのだろう。子供の頃雪が積もった朝外を見てワクワクしたものだ。四季を感じさせてくれるほどほどの雪であってほしい。図書館本2020/02/18
雲をみるひと
23
前半が気象小話集的で、テーマである将来の降雪量の話題にストレートに入らない構成。いきなり論文のような内容だと読書がついてこれないだろうという配慮かもしれないが、少し中途半端な印象を受けた。降雪は様々な要素の影響を受ける深いテーマなので、ターゲット読書を絞った編集でもよかった気がする。2025/01/26
Sakie
19
基本的に気象学から解説する日本の雪の話。さて、地球温暖化による気候変動と異常気象(30年に一度級)は別物である。ということは、近年頻発する酷暑や豪雨はもはや異常気象ではなく、常態と言わねば。雪について言えば、気温上昇に伴ってひと冬に降る雪の総量は減るが、気温が上昇して海から水蒸気化する水分量が増える分、寒い地方の雪の量は増え、ドカ雪被害も常態化しそうだ。他にも、北極海の海氷が減ると海から熱と水蒸気が大気に供給され、大気の流れが変わることで、日本に寒気が流れ込んで寒くなる現象もあるとか、想像どおりでない。2021/08/07
Akiro OUED
8
日本のドカ雪の原材料は、日本海の海水らしい。じゃあ、致し方ないか。温暖化対策よりも、太平洋の真ん中で起きるラニーニャ現象のメカニズムを解明するほうが重要だと読めた。不明確なままだと、将来の数値気象予測の結果も怪しくなる。温暖化で豪雨は増えるのかどうか問題にも挑戦してほしい。2022/01/16
mft
8
地球温暖化と雪の関係で言えば南極の雪が減るのか増えるのかそしてその結果海面上昇は…という話題が先に頭に浮かんだが、これは日本国内の雪の降り方の話。現在どこにどういうメカニズムで降るかを押さえてから、では地球温暖化でどう変わるか、と話は進む。結論に特に意外性はないが丁寧な説明で読みやすかった2020/08/08