内容説明
クリスティーズは世界二大オークション・ハウスのひとつ。その日本法人の社長である著者は、長年東洋美術部門インターナショナル・ディレクターをつとめ、日本美術のスペシャリストとして多くの美術品と出会い、オークションを通じて、作品の橋渡しをしてきた。本書は、オークションを取り巻く個性あふれる関係者、セールでの駆け引きはもちろん、美術品との数奇な出会い、真贋の見分け方、「歴史の一部」を預かるトップコレクター達の誇り、そして欧米でのオークション・ハウスと人々の関係等の逸話を紹介。そして日本美術への想いを通して、アートと共にある生活を提案し、美意識の磨き方とそれをビジネスや人生に活かす視点を示す。◆推薦◆○掛け値なしに、「面白い!」と断言できる本。美術館に飛んでいって、是非とも本物を見たい!という気持ちにさせられる。――平野啓一郎氏(小説家) ○美術とマネーは動的平衡。伝運慶作の仏像を日本古美術市場最高額でオークション取引成立させたのがこの著者。絶対に面白い本――福岡伸一氏・大推薦(『動的平衡』著者)
目次
はじめに
第一章 美術品オークションと云う世界
第二章 私のアート半生記
第三章 美術品を巡る世にも不思議な物語
第四章 日本美術、その鑑賞の流儀
第五章 審美眼の磨き方
第六章 美意識を生活に活かす
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
81
これは面白い。オークションで有名なクリスティーヌジャパンの社長。専門は日本美術。日本美術品の特徴はその多くが日常品であったこと。オークションの功罪は種々あるも、海外の日本美術品は「文化外交官」であるという考え方に納得させられる。彼が関わり日本に里帰りした日本美術も多数あり、時代に翻弄された美術品の流転にこそロマンがある。我々は海外の美術館にある誇るべき日本美術品のどれ程を語ることができるのだろう?日本人は自国の文化をもっと知るべきという気になる。著者の言う東京での御社のオークションを是非実現させて欲しい。2020/04/11
inami
33
◉読書 3 著者は世界二大オークション・ハウス「クリスティーズ」ジャパンのトップ。本書ではそのスペシャリストの仕事について解説、美術品の「価値付け」がどのように行われるか等、さまざまなエピソードを交えながら紹介。フェルメール作「エマオの食事」をドイツ高官に売った罪で逮捕・起訴された「メーヘレン(天才的贋作画家)」だが、この作品実は彼がが描いたもの、彼は「売国奴」から一転、「ナチス・ドイツを騙した男」として英雄視された・・著者が選ぶ「必見日本美術」ベスト30(ベスト10は写真あり)は、是非一度観てみないと!2020/02/17
コニコ@共楽
21
冒頭から興味深い3Dの話。有名コレクターの作品をゲットする最も重要な機会は、Death死、Divorce離婚、Debt負債の3つのDだというのだ。美術品を観ることのみで、売ったり買ったりとは縁のない私だが、この本を読んで、来歴を知ったり、その作品ができた当時は、それが現代美術だったりということを考えるのも美術品の楽しみ方だと知った。素晴らしい作品に出会うことは、素晴らしい人と出会うことと同じで、良い作品を観ることで目利気になり、人を見る目も養うことになると言っていることも肯ける。2020/09/28
おおにし
18
読書会課題本。美術品の値付けのポイントは(1)相場、(2)希少性、(3)状態、(4)来歴。来歴とは、同じ作家の作品でも著名人のコレクションなら高額となること。美術品にもストーリーが必要なのだと納得した。アートに対する審美眼を磨くことが大切だと著者は言うが、のめりこむと鑑賞だけでは飽き足らず自ら所有したくなりそうでちょっと怖い。2021/02/28
奏市
15
クリスティーズジャパン代表の著書。前半のオークションの部分は今後も関わる事ないであろうこういった別世界もあるんだって感じだったが、終盤のアートとは何かとか審美眼の磨き方は興味深く読んだ。若い頃、自分にとっては安くない値段で(名を知られている人ではないが)画家本人から絵を買ったのを思い返した。今は嫁が買っていいというわけないので美術展のポストカードが関の山だが。美術品についても感想など人と話すことでより楽しめ理解も深まるというのは、本と同じと感じる。「人を見る眼はモノを観る眼、モノを観る眼は人を見る眼」2022/06/25