内容説明
武田家再興の鍵を握る秘巻を巡って四人の少年武者の艱難辛苦を描く「悪龍窟秘譚」。智恵が足りぬと蔑まれていた弟が悪徳の商売敵をやりこめる「鹿島灘乗切り」。父娘の命を賭けた伊達政宗への諫言を描く「誉の競矢」。剛勇無双の本多平八郎と同名の臆病侍が心機一転、強敵に挑む表題作。新発見二編を含む快作二十一編収録。(解説・末國善己)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
面白かったです。少年少女を主人公とした時代小説というのが新鮮でした。2022/02/24
Kotaro Nagai
9
本日読了。周五郎少年文庫6冊目。昭和5年~13年に少年少女譚海および少女倶楽部に掲載された時代物19編と新たに発見された現代物2編を収録。このうち少女倶楽部に掲載された「歔欷く仁王像」「誉の競矢」「鳥刺おくめ」「身代り金之助」「和蘭人形」は既刊の短編集「美少女一番乗り」(角川文庫2009年)にて収録済み。「悪龍窟秘譚」は武田家の財宝をめぐる伝奇ものですが、第1部のみで第2部は予告されたながら発表されなかった作品で惜しい。「南海日本城」は海洋物の中篇で面白かったが終盤やや雑な展開なのが惜しい。2021/02/08
りんご
8
周五郎さん得意の時代ものですが、少年文庫ということで活劇調です。気楽には読めます。2022/08/18
ひさか
7
2019年10月新潮文庫刊。少年少女譚海、少女倶楽部、新少年掲載の21編の短編を収録。古色蒼然としたお話ばかりで、興味深かったです。表紙絵が良いです。当時の少年少女の気持ちになれました。2020/09/03
だまし売りNo
5
幕末の異人館斬り込みの話では林田という学者が登場する。フランスが幕府を援助する内容の条約案が日本侵略を目的としたものと見抜く。悪徳商法の契約的である。 今は薩摩長州がイギリスの傀儡という見方が根強いが、戦前は幕府が日本をフランスに売り渡そうとしていたという見方が強かったのだろうか。それは明治政府の正当化に都合のよいイデオロギーである。この話のフランス将校は悪の侵略者でしかない。 2019/11/10