内容説明
モーツァルトのシンフォニーが頭の中で突然鳴り響いた時、小林秀雄に何が起きたのか。「本居宣長」はブラームスで書いていると語った晩年の境地はいかなるものか。最後に聴いたメニューインの演奏にまつわる奇蹟とは? 文学青年であると同時に音楽青年でもあった小林秀雄の批評の本質に新たな視点から迫る文芸評論集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
34
音楽と小林秀雄が好きなら、この本は最高だ。特に、最終章の「ブラームスの勇気」が秀逸。「「本居宣長」は、ブラームスで書いている」という一文に込められた深い意味とともに、見事な小林秀雄論が展開する。「批評とは、他人の作品をダシに使って自己を語る」ことだと言い放った小林さんが、晩年に「述べて作らず、信じて古を好む」境地で本居宣長を語る背景には、ブラームスがいたのか…。「誰がわかるもんかい、ブラームスという人のね、勇気をね、君!」…小林さんの啖呵に、「ちゃんとわかるよ」と答えたい。この本はいい。絶対のお奨めです。2019/11/18