中公新書<br> シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争

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中公新書
シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争

  • 著者名:麻田雅文【著】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 中央公論新社(2020/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121023933

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内容説明

1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力の拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア人の傀儡政権は機能せず、パルチザンや赤軍に敗退を重ねる。日本人虐殺事件の代償を求め、北サハリンを占領するなど、単独で出兵を続行するが……。本書は、増派と撤兵に揺れる内政、酷寒の地での7年間にわたる戦争の全貌を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

69
例えば高校日本史の教科書でも、数行で片付けられてしまうことの多いテーマを、コンパクトにまとめた好著。チェコ軍団救出というアメリカとの共同出兵をスタートに、ドイツの極東進出、ロシア革命の波及防止、そして北満州などへの領土的欲望などが絡み合いながら事態は動いていく。革命に対抗するロシアの動き、パルチザンとの関わりなども詳述され、その思惑の交錯が興味深い。尼港事件と北サハリン進駐など、きちんとしたものを初めて読んだ。時代は大正、内政ではデモクラシーを担った政治家の名前が続出するが、外交では意外と強硬だったり。2016/10/28

樋口佳之

60
日中戦争では、シベリア出兵に参加した多くの将校たちが昇進して指揮をとっているが、その経験が生かされたようにも見えない/逆説的だが、シベリア出兵は、政府が軍部を従わせて撤兵に成功した、戦前最後の戦争/満洲事変をきっかけに、一九三〇年代には政府と軍部の地位は逆転して、歴代の内閣は軍部の意向に追従せざるをえなくなる。最終的に撤退を決断できるほどの指導者を欠いたことが、シベリア出兵と日中戦争の最大の違い/2021/12/17

kawa

45
多大な人命と財貨を費やしながら、得るものの少なかった故か、あまり語られることのないシベリア出兵の7年にも渡る概要がコンパクトに理解できる良書。シベリア抑留の悲劇を非難する日本人が、シベリア出兵での民衆の被害を知っているのかとロシア人から逆襲を受けた冒頭のエピソードが印象的。チェコ・スロバキア軍の救出を建前に、その実は自国の権益拡大、ソ連革命政権妨害を狙った「忘れられた戦争」に陽があてられる。曾祖父がシベリア・チタに出征していた縁で、探し当てた資料の読みにも本書がとても役に立った。2022/08/09

かごむし

37
不勉強なことに、1918年のウラジオストクへの出兵にはじまり、1925年の北サハリンからの撤退に終わる「シベリア出兵」という存在そのものを、初めて知った。国際情勢という制約の中で、日本はどのような政治を行い、軍事力の行使をし、何を目指したのか。後世に生きる僕たちは、太平洋戦争につながるあの時代、というものをどのように捉えることもできるだろう。しかし、当時を生きる人たちも、精一杯の努力をしたであろうことは客観的な記述の中だからこそ光って見える。評価の前に、正しい認識をしなくてはいけないということを痛感する。2016/11/02

ピオリーヌ

32
麻田雅文『日ソ戦争』が面白かったので読んでみた。平成28年の刊。ロシア革命の混乱に乗じ、大正七年にウラジオストクに日本はじめ各国の軍隊が上陸して始まり、ウラジオストクからは大正11年に撤兵する。だが当書では大正14年に北樺太から日本軍が撤退するまでの七年間をシベリア出兵と定義している。日本ではシベリア出兵は知名度が低いとされており(私も知らなかった)、日本がバイカル湖周辺まで攻め行ったと聞いて驚きを隠せない。また当時の首相の権限の弱さ、山県有朋を頂点とした「元老」が実質的な首相任命権を持った体制、2025/03/05

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