みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 - 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 - 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

  • ISBN:9784296105359

ファイル: /

内容説明

みずほフィナンシャルグループ(FG)が2011年から進めてきた「勘定系システム」の刷新・統合プロジェクトが2019年7月、ついに完了した。
 富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータを筆頭に1000社ものシステムインテグレーターが参加したものの、2度にわたって開発完了が延期になったことから、なかなか完成しないスペイン・バルセロナの教会にちなんで「IT業界のサグラダファミリア」とまで呼ばれた史上最大級のITプロジェクトだ。みずほ
FGは完了までに8年もの年月と、35万人月、4000億円台半ばをつぎ込んだ。
 1980年代に稼働した「第3次オンラインシステム」の全面刷新は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合したみずほFGにとって、2000年の発足以来の悲願だった。
 しかしシステム刷新は何度も挫折し、2002年と2011年には大規模なシステム障害を引き起こした。80年代の非効率的な事務フローが残ったままになるなど、勘定系システムの老朽化は経営の足かせになっていた。
 なぜみずほ銀行のシステム刷新は、これほどまでに長引いたのか。そして今回はどうやって完了に導いたのか。みずほ銀行がこれから目指す金融デジタル化戦略を、みずほFGにおける19年の苦闘の歴史を追いかけ続けた日経コンピュータが解き明かす。
 多くの日本企業が直面する情報システムの老朽化問題、「2025年の崖」を乗り越えるヒントがここにある。

目次

はじめに
第一部 IT業界のサグラダファミリア、ついに完成す
第1章 三十五万人月、四千億円台半ば、巨大プロジェクトはこうして始まった
第2章 さらば八〇年代、新システム「MINORI」の全貌
第3章 参加ベンダー千社、驚愕のプロジェクト管理
第4章 緊張と重圧、一年がかりのシステム移行
第5章 次の課題はデジタル変革
第6章 「進退を賭けて指揮した」
    みずほフィナンシャルグループ 坂井辰史社長 インタビュー

第二部 震災直後、「またか」の大規模障害
第7章 検証、混迷の十日間
第8章 重なった三十の不手際
第9章 一年をかけた再発防止策

第三部 合併直後、「まさか」の大規模障害
第10章 現場任せが諸悪の根源
第11章 無理なシステム統合計画を立案
第12章 大混乱の二〇〇二年四月
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

187
IT業界のサグラダファミリアと揶揄された、みずほ銀行のシステム統合と刷新の話。日経コンピュータ編集の本書、俺の言う通りにやらないからこうなるんだと言いたげの論調。現場技術者の苦悩よりもシステムトラブルの裏側を淡々と描写。システムは銀行の業務方針の鏡であるから、システム統合は業務統合と表裏一体の筈だったが、頭取たちはシステムを単に技術の問題と捉えており、システムのデザインを頭に描いていなかった。2020年2月出版だが、この出版後もトラブルは続いている。 2021/09/16

KAZOO

131
この本は日経コンピュータの特集記事を膨らまして本にしたもので、それだけでは足りないので約半分は2002年と2011年のシステム障害についても書かれています。その当時に書かれた詳細な障害分析の本も読んでいるのでいまさらという感がしました。それよりもこのサグラダファミリアが完成した体制や詳しいリスク管理の話をもっと書いてもらいたかった気がします。というのは勘定系システムをゼロから作り上げるというのは本当に大変なことです。他のメガ2行のシステムはすべて片寄せしたのであまり大変ではなかったと思いますが。2020/02/19

かずー

118
みずほ銀行の勘定系システムの二度の大規模障害、長い期間を要した刷新プロジェクトの全貌を解き明かしている。プロジェクトに費やした費用は35万人月、四千億円。とんでもないプロジェクトである。残業、休出していた開発者の苦労を考えるととても辛い。主要ベンダーとして富士通、日立、IBM、NTTデータが参画しているが各社自社製品を売り込もうと必死になりシステム全体を考えていない。お互いのシステムのダメ出し合戦、最悪な状況。経営陣のシステムに関する無知、甘さが失敗要因の1つであるが、ほんとに辞めて欲しい。2021/01/22

R

97
プロジェクトの上流工程よりも、さらに上流、経営判断を含めた情報システムのあり方について考えさせられる一冊。35万人月という、聞いたことないほどの工数をかけて失敗の連続と、後悔と、反省と、ともかく出来上がったという結果は褒めるべきであろうと思うような巨大プロジェクトが描かれている。日本の銀行という、日本の会社組織の粋というか、すべてを凝縮したような業態だからこそのプロジェクト運営の姿が、日本のすべてを見せてくれるようだ。下流のほうのデスマーチも見たかったけど、凄い考えさせられる一冊だ。2020/05/18

se1uch1

96
銀行が統合する際には、システムはどちらかに寄せるが原則であったのに対して、統合時に3つを2つにするという謎の仕様になった。システムの老朽化、IT人材不足、マニュアル・E2Eのシステムのデータフロー図の皆無、情報伝達スピードの遅さの詳細が描かれている。たまたまみずほがメガバンクで影響が大きい事故を発生させたが故に注目されたわけだが、金融機関は少なからずこれらのことを抱えているはずであり、この教訓を生かしていく必要がある。2024/06/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15325337
  • ご注意事項