内容説明
子宮体がんを告知された主人公は、放射線センターでエックス線照射を受ける。治療法に反対する娘、肺がん闘病中の元同僚、放射線宿酔の夢に現れる今は亡き女性たち。数々の文学賞に輝く著者による、実体験をもとに病と魂の変容をめぐる傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
42
身近な人たちを何人か癌で亡くした。患部を切除してから抗癌剤治療という場合がほとんどで、本書で放射線治療の場合を初めて知り、四次元照射法という治療はかなり有効だと思わされた。治療の選択肢のひとつとして知っていたら、誰か1人でも救えたかもしれない…。タイトルの「焼野」は、放射線を当てた体でもあり、3.11でもあり、天然の原子炉なる火山でもあり、繰り返されるザビエルの鐘の「火事です。火事です。世界は火事です。神は今日も不在です」という私たちが業火の中を生き続けている世界でもあろう。2023/10/23
コーデ21
17
ご自身の癌体験記である「光線」を読んだのは7年程前。今作では放射線治療の実体験が詳細に描かれていました。肺ガン闘病中の元同僚や放射線宿酔時の夢に現れる亡き祖父母たち、そして日々舞い落ちる火山の噴煙、教会の鐘の音などなど、村田さん独自の語り口にノメリコミ、読んでるだけでコチラまで宿酔気分に~😢 でも無事に完治されてなによりです!ラストの「死ぬまで深く生きる」という力強い言葉には深く感銘を受けました。2022/02/16
桜もち 太郎
14
東日本大震災が起こった翌日に子宮体癌の告知を受けた主人公の物語。これは作者自身の闘病記であったことをあとがきで知ることになる。癌になる人、ならない人、その違いは何だろうと考える。同じようにこの世に生を受けて、それぞれの人生を歩み、人は死んでいくのに、その死の在り方が違う人間の業を思う。癌は手ごわい。自分の肉親も癌で亡くなっている。二人に一人は癌で死ぬという。改めて人間の無力さを感じる。あとがきの作者の最後の言葉が重くのしかかっる。「死ぬときまで深く生きる」そろそろ自分も覚悟を決める年代になってきた。2022/08/27
ひでお
5
著者自身の体験に基づく癌の放射線治療と、震災と原発事故、そして鹿児島市街地の近で活動する桜島が対比的にとらえられた小説。原発事故により大きな被害を与える放射線と、医療として命を救う放射線。なにか人知を超えた力を内在しているようにも思えます。身近にも癌患者いるので決して他人事ではない、生死のありかたについて、あらためて考えてしまいました。2020/08/02
YH
4
あなたと共に逝きましょうと題材が一緒だから、あれ?既読?と思ったがちょっと違うみたい。様々な治療法がある中で、どれを選ぶかは本人次第。狭いところもダメ、身体を切るのも恐ろしいって思うとオンコロは、自分も選択肢に入れるかもしれないな。そういう事がないのが一番だけど。2021/05/14
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