内容説明
これは、神戸の二大洋菓子メーカーの一つ、モロゾフの真の創業者・ヴァレンタイン・モロゾフ一家の物語である。ロシア革命後の亡命から神戸で洋菓子店を開き成功するも、その後、日本人共同経営者による裏切りから「モロゾフ」という屋号を名乗ることが許されない悲劇。そして神戸大空襲と敗戦による苦難……大正十五年に始まったモロゾフ親子の苦闘の歴史を綴ったのが本書である。ロシアで成功した富豪でありながら、そのために革命後に国を去る決断をし、ハルビンから日本を目指すも、関東大震災に出会い、日本をあきらめシアトルへ、そしてまた日本の神戸と流転する。モロゾフ一家の足跡をたどることによって、革命下の家族離散の悲劇、亡命者の苦難、戦前・戦後の神戸や日本の近代史の一側面が描かれている。高級チョコレートにはほろ苦くも深い人生の味がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
19
白系ロシア人は共産革命の亡命者を指していたが、後に意味が広義化。本書は元祖白系、高級チョコレートの祖となった親子三代の奮闘物語。白系ロシア人の多くはハルピンに集積し、新天地を目指した。一家はシアトルに移ったが失敗。経由した日本の民度に魅力を感じ、洋菓子作りの経験を元に神戸でゼロから起業。品質重視が奏功したが、経営トラブルや戦争で再びゼロに戻った。二代目までは無国籍。教会と皇帝を破壊したソ連を拒み、モロゾフの姓を固守し、日本国籍を取得しなかった。モロゾフは95周年、白系ロシアのアイデンティティを今に伝える。2026/05/22
マツユキ
11
ロシア革命で、亡命した家族は、やがて日本でチョコレートを作り始める。一家の長男も、職人として働き始めるが…。あのモロゾフだよねと読み始めたのですが、こんな経緯があったのか。名前を奪われ、日本でも戦争が起き、チョコレートを作るどころか、食べるものもない。逆境の中でも、守るべき家族、誇り。名前が表すもの。このタイミングで読む事になって複雑なんですが、主人公の生き方を尊敬します。2022/03/10
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
4
人はなぜチョコレートを食べるのか。チョコレートに神さまの食べ物としての品位を落とすことを決して許さなかったモロゾフの物語。だからホ・オポノポノではチョコを食べろというのかwww 神戸という地の特性がチョコレートを生んだんですねー。震災後、震災前の神戸のいいとこがすっかり無くなってしまったのが寂しいことです。国籍を持たないモロゾフにとってはモロゾフという名前こそが己のレゾンデートル。横取りしようとした人たちはその重みがわかってなかったんだろうね。2015/08/09
sevengong
0
白系ロシア人の物語りです。2010/10/24
おちょま
0
幼い頃に今はなきコスモポリタンの前にいつもいらしたロシア人のおばあ様。彼女が誰だったのか知りたくて本書を読んだ。電子化されたようで、とりあえず市の電子図書館で借りた。思っていた以上に面白く映像化されてもいいのにと思った。読み終わったあと三ノ宮に行く用事があったのでコスモポリタンがあった場所と現在のモロゾフ本店の前を歩いてきた。結局あのおばあ様が誰だったか本でははっきり書かれていなかったが、多分奥様だと思う。実は当時は魔女だと思って怖がってました。ごめんなさい。2026/03/30
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