文春学藝ライブラリー<br> 日本人の戦争 作家の日記を読む

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文春学藝ライブラリー
日本人の戦争 作家の日記を読む

  • ISBN:9784168130854

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内容説明

作家たちにとって戦争とは何だったのか。
戦中、戦後の5年にわたる日記から作家たちの喜びと悲しみをあざやかに読み解く。

永井荷風、高見順、伊藤整、山田風太郎らは、日本の太平洋戦争突入から敗戦までをどう受け止めたのか。
勝利に歓喜する者、敵への怒りに震える者、無力感から諦念に沈む者……。
作家たちの戦時の日記に生々しく刻まれた声に耳をすまし、国家の非常時における日本人の精神をあぶり出す傑作評論。

巻末に平野啓一郎との対談を収録。

※この電子書籍は2011年12月刊行の文春文庫を基とした文春文藝ライブラリーを底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やまはるか

20
 戦中及び敗戦直後の日本作家の日記を引用、アメリカ人の目で割と公平に解説。登場人物は永井荷風、高見順、山田風太郎、伊藤整など。永井荷風は辛辣な戦争批判を書き、官憲の目に止らぬよう厳重に管理、空襲による焼失から守って後世に残した。戦時中、心ある作家は本業より日記を書くことに情熱を注いだようだ。昭和20年8月、阿南陸軍大臣が割腹自殺を遂げたことは有名だが、敗戦で自殺した日本人はそんなに多くなかった。ドイツではポツダム宣言でドイツ処理案が発表された最初の4日間で2300人余が自殺したという。この違い大いに納得。2023/01/29

奏市

13
大変面白かった。1941から1946年まで日本の作家たちがつけていた日記の抜粋とキーンさんの解説という内容。戦争賛成者も反対者も対等にいい悪いなく纏めてありフェア。大学生の頃に戦争について自分なりにもっと知りたいと思って少し本読んだりしてたが、こういうのを読みたかった。子供の頃は戦争に賛成していた日本人に侮蔑的な気持ちがあったが、今は良いこととは勿論思わないが何か尊いというか愛着があるような気持ちも持つようになった。改めて戦争に負けたから今の安穏があるのか助かったと先人たちに申し訳ない気持ちにもなる。2020/12/29

HH2020

5
◎ 太平洋戦争中に作家が書いた日記の数々を、あの日本研究第一人者のドナルド・キーン氏が解説する。伊藤整や山田風太郎が軍国主義に染まるのに対して、永井荷風や高見順は反軍部であり、さまざまな思いがあったことがよくわかる。「玉音」後、占領下となったときの作家たちの心情の変化も興味深い。戦争に負ければ日本は終わりと思っていたのに訪れたのは自由な社会。高見順はそれを喜びながらも、自国の政府からでなく占領国から与えられたことに屈辱を感じた。日記から当時の生の感情が伝わる。巻末の平野啓一郎との対談でより理解が深まる。2021/06/04

昼寝

3
作家ごとの差が興味深い。文学者だからと、一括りにはできない。2022/11/07

紫苑

2
太平洋戦争中に書かれた複数の作家の日記をドナルド・キーン氏がひもとく。軍国主義に傾倒してゆく山田風太郎や伊藤整、戦争を客観的に見ようとする永井荷風や高見順、警察に読まれるのを避けるためにフランス語で日記をつけた渡辺一夫。特に戦後の価値観の転換による各人の思考の揺れを感じさせる部分が興味深い。戦前回帰の風潮が危ぶまれる現代への警句となり得る記述もそこここに見られる。2022/08/22

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