内容説明
夫婦で本を勧めあい、感想を交換すれば、相
互理解が進み、仲良くなれるはずだった。な
のに、『羆嵐』『VOWやもん!』『クージョ』
『台所のおと』『黄昏流星群』と、妻と夫が交
互に本を紹介する読書リレーは、どんどん雰
囲気が険悪に。相手の意図がわからず、慣れ
ない本に右往左往、レビューに四苦八苦。作
家夫妻にしかできない画期的読書案内。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
70
普通だったら本作の書名だけで判断してスルーしそうですが、そして扉の次には゛これは、夫婦がお互いを理解するために本を勧めあった格闘の軌跡である。゛とホント大げさな表現ですが、円城塔さんと奥様の田辺青蛙さんのリレーエッセイです。円城さんの読ませる作品とは違ってかなり普段着っぽくって面白い。その面白さの原因の大部分は大阪育ちの奥様のサービス精神溢れるボケ役(本人はそんな意識無しか?)とのコンビであるから。結婚パーティーの時に2人して『エヴァンゲリオン』のコスプレをしたなども面白く、多方面の本40冊の紹介もある。2020/04/09
かのこ
64
共に作家である円城塔さん・田辺青蛙さん夫婦が「相互理解」を目指して互いに本を紹介しあうレビューエッセイ。とびきり尖った選書(レシピ本や折り紙アートの本なども登場)が続く中、夫婦の相互理解はちっとも進まないけど笑、小出しにされる夫婦エピソードや自分語りが面白い。ツンツンだけど隠し切れない優しさや愛情が染み出ている円城さんとすこーんとした明るさが気持ちいい田辺さん。分からないところ・敵わないところと、言葉にできない感覚を共有できる、その塩梅が夫婦の重要ポイントなのかなと思った。ラストのイラストがとても可愛い。2021/02/08
ましゃ
39
円城塔(SF・文学作家)、田辺青蛙(ホラー作家)夫妻による夫婦の相互理解を目的とした読書リレー…いや、読書感想文交換日記です。ブックガイドとしてではなく、エッセイとしてとても読みやすく面白かった。2人の性格を要約すると、電波女とクズ男である。お互いの話が噛み合う事が一切ない、むしろお互い話がかなり脱線するのだけど…では、何故2人は結婚したのか。花房観音さんが解説で教えてくれた。『「わかりあえないけど、一緒にいられる」からこそ、夫婦生活を続けられるのだ。』なるほど、夫婦の相互理解なんて二の次でいいんだな。2020/02/24
kei-zu
33
唐沢なをきによる表紙のイラストがずっと気になっていた1冊です。 すれ違う感想と、推薦の思惑。近くにいて遠くにあるのが夫婦ですかね。我が家も言うに及ばずですが。 それぞれの文章にの合間に掲載された双方の突っ込みが楽しい。 最後に明かされる、著者不調の原因である連載中にあった出来事にはびっくり。これだから、小説家は油断なりません(ほめてる)2021/06/11
マッピー
22
読書が趣味と言ったって、読書の趣味が全く同じ人ってまずいないだろう。だから、夫婦だからと言って同じ本を読み、同じ本を好きになる必要はないと思うんだけど(円城塔もそう言っている)、性格・趣味趣向の全く違う夫婦が相互理解を高めるために、読書リレーを始めてみた。読書案内本であるはずなのに、夫婦のあり方が面白くて、実は本についてはあまり記憶に残っていない。まるで歩み寄ることのない「栄螺(さざえ)堂」のような夫婦と円城塔は言うけれど、いいじゃないか栄螺堂。栄螺堂のような夫婦になりたいと、そう思いまいました。2020/04/22