内容説明
もうひとつの三国志。曹操はこんな男だ! ──希代の姦雄、魏の曹操。その凄まじいエネルギーは、周囲の男女の人生をいやおうなしに巻きこんだ。父の身代わりとなって悲運の死をとげる長男・曹昂(そうこう)や、夫にけっして心を許さなかった丁夫人、そして父になりかわって漢王朝から帝位を奪った曹丕(そうひ)の心の闇など、英雄に接したがゆえの悲劇をえがく傑作6篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイゼナハ@灯れ松明の火
15
曹操というより、曹一族の愛憎をテーマにした短篇6作を収録。洛妃の視点で曹丕との関係を描いた「憂愁佳人」が良かったかな。しかし、夫との関係で意地をはってた丁夫人・洛妃の子供(曹昂・曹叡)に揃ってマザコンの気があるというのは・・・そういうものなのかしらね。2010/07/18
BIN
6
曹一族(丁夫人、曹昂、甄夫人、郭皇后(曹丕)、曹叡、曹操)の短編集。曹昂好きは是非おすすめ。最初の丁夫人との話で貪が出てきたから蒼天航路ぽくなるのかなと思ったらそうでもなかった。丁夫人の話も面白かったけど秀逸なのは曹昂か。曹操に似ず清廉潔白で欲のない曹昂に曹操が一言「人はみな私欲を満たすためにのみ命がけで戦う。それがない人間が古来なにかを成し遂げたであろうか」。全くその通りだと思いました。絶望しながら死んでいくシーンもいいね。曹操親子関係に対して面白い観点でした。 2016/03/29
サヤコ
2
曹昂兄さん気になってたので、主役の短編があって良かった。あとは皇后たちの愛憎劇というか…。甄皇后切ない。曹丕も曹叡も似てるな、と思ったり。三国志の派手な戦や政治の影で、こんな話もあったのだな、と考えてさせられる。どちらかというと女性向きかなぁ。
もみじ
1
短編では物足りない。2016/05/29
のんたん
1
六つの短編集の中でも、甄夫人と曹丕を描いた「憂愁佳人」がよかった。戦いの最中に略奪されて妻にされた年下の夫に決して心を許さなかった甄洛が、曹丕から死を賜った時にはじめて夫への愛に気づかされる。そして、今更気づいても遅いと言って死を選ぶのだが、ここで自分の本当の気持ちを曹丕にぶつけたらどうなっていたのかと思うと切なくて。心の描写とかリアルに感じられて良い作品でした。2016/04/19