内容説明
黒澤明、小林正樹、小泉堯史――。
世界に名だたる映画監督たちが惹かれてやまない、山本周五郎の世界。
ときに親身に、ときに邪険に。
山本周五郎の描く人間は様々な面を持ち、おそろしいほどに今を生きる人々と重なる。
本作では、黒澤明によって『赤ひげ診療譚』として映画化された「狂女の話」を初め、「深川安楽亭」「雨あがる」など名作六篇を収録。
名監督も惹かれた世界をご堪能あれ。
目次
狂女の話
五瓣の椿 第六話
深川安楽亭
街へゆく電車
ひとごろし
雨あがる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
91
映画化された周五郎作品6話。おかれた環境はそれぞれですが、登場するのは社会の底辺にいる人であったり、周りからは理解されないような生き方をしている人であったり、多分大方の人が思う幸せからは遠い人たちです。きれいごとかもしれませんが、わたしは彼らの生き方が好きです。幸せというのはこういうことかもと、そんなふうに生きられる彼らを羨ましくさえ思います。『街へゆく電車』の六ちゃん、『雨あがる』のたよのように人を愛せたらいいですね。2020/04/17
たつや
5
映画原作集というコンセプトが良かったです。「雨あがる」は確か黒澤明の没後に遺稿が見つかり、黒澤組が集結して映画化に至ったと記憶する。原作は映画同様、人情味に溢れている。2023/03/17
酩酊斉案山子
3
うっかり読了してるのに気づかずに借りたが、やっぱり面白いな。代表作は楡の木なんだろうけど、俺はこういう下々の民を題材にした作品の方が好き。2022/10/24
酩酊斉案山子
3
周五郎と潮五郎を混同する程度に疎かった自分が許せない面白さ。安楽停にしろ、雨あがるにしろ、先が気になってページを繰る手が止まらん。この稀代のストーリーテラーを追うだけで俺は人生の残りを費やせるな。2022/01/23
まなぶ(本コレクター)
3
映画原作を集めた短編集。どれも映画化されたくらいだから面白いのは間違いない。中でも「ひとごろし」は笑えて面白い。臆病者の臆病だからこその戦い。臆病者が主人公てことで、同じ山本周五郎の短編「武道無門」を思い出した。あれは名作。2020/03/27