内容説明
転職サラリーマンのV字復活物語!
早期退職勧奨を受けた青葉一成は、ちょうど転職先を決まったこともあり、応じることにした。新たな勤務先のグリップグループは、共同の仕入れなどを行う小規模スーパーが集まった会社だった。しかし、直前に社長の交代が行われて新社長が就任。前社長と対立していた社長は、前社長の方針で入社した青葉を快く思っていなかった。何とか開発課長という肩書で入社できたものの、当分は加盟しているスーパーの副店長で現場を担当することになった。
勤務先の「ひなたストア」は、品ぞろえも悪く、店員の活気もなく、くすんだ建物で客もがらがらだった。しかも、近くには大きなスーパーが2軒あって繁盛していた。前社長派の店長は、新社長が近くの大きなスーパーの店長をしていることから、一成を新社長派だと決めつけて全く心を開いてくれない。
自宅にいる妻と娘と離れてひとり暮らしを始めた一成。スタッフとの交流を通じて少しずつ現場の問題を解決しようとするのだが……。八方塞がりのなか、隣に住む老女が大きなヒントを与えてくれる事になる。
廃業必至の店を、どう復活させるのか!?温かな気持ちになれる物語。
『がんこスーパー』を改題しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
75
「がんこスーパー」から改題。リストラ後の転職先で、潰れる寸前のスーパーに副店長として派遣された中年男の青葉。その誠実な人柄で周りを巻き込み、繁盛店に再生していく。競合の多い地域のスーパーならどこでもやっていることなのだが、テンポよく繰り出されるアイデアにワクワクしてしまう。2020/07/14
ぶんこ
64
気に入っていたスーパーが、買いにくくて、雰囲気がトゲトゲしてきた経験があります。スーパーは店長次第でこうも変わるのかと愕然としました。つぶれかけている地元スーパーに派遣された青葉が、パートリーダーや高齢のお隣さんの手助けを素直に感謝したことからアイデアがうまれ、徐々に繁盛店になっていく過程が面白かったです。店長の甥が「ゲームみたいじゃないですか。初めて仕事が面白いと感じた」と言うのに拍手。楽しく、仲良く、やりがいと達成感が得られる職場は繁盛するのだと納得。嫌々やっている仕事も、気の持ちようで楽しくなる。2022/06/12
涼
60
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/05/post-0deaa7.html この著者の話は先が読めるのですが、それでもホッと出来る結末には癒されます。2023/06/01
Yunemo
60
随分前に読んだ弁当の続編かなと読み進め。でも前のことはほとんど忘れてて。本作、いいですね。これだけの善人の集まりが、苦境を脱していく様には、何だか日本人の根源的な人情部分が経営改善の道になる、なんだかホッとする自身がいて。経済合理性ばかりじゃないんだ。とは想いつつ、現実的には難しいのかな、という否定的見解も。でも、がんこ野菜でつくる惣菜、ぜひとも食したいという想いが募ります。表面を焼いて辛子味噌を塗った白ネギ、これつまみにしての日本酒、さぞかしおいしかろう、喉がなります。こんな引き籠りの時期に落ち着き感。2020/04/29
ゴルフ72
54
山本作品は初めてでした。設定としては余り奇抜ではないが読者の心をほっこりさせてくれます。設定が九州佐賀、セリフが何故か気持ちよく心に入ってきます。親子の問題もうまく解決・・・こんな時期(新型コロナウィルス感染)に良い小説に出会えました。追記::続編も是非!2020/05/25