内容説明
老いを笑いに変えるエッセイ。待望の文庫化。
皮膚科では「老人性」を連呼され、老眼鏡は片時も手離せなくなり、数々の言い間違いに物忘れ……。著者が「老い」を実感した出来事が、次から次へと、ときに毒舌を交えながら軽妙に綴られる。「アサガオ」と言っているつもりが「アジサイ」と言い続けて夫に指摘されたエピソードや、若いショップ店員に「ジーパン」と言っても通じず、「デニムですね」と言い換えられて衝撃を受けた話など、クスッと笑える話題が満載。その一方、体調の急変で倒れた話や、自身の乳ガン闘病記まで、考えさせられる話もぎっしり。乳がん闘病記では、告知から術後までの事象と心の動きが、時間軸を追いながら克明に綴られています。ひとつ間違えば重くなりがちなテーマながらときに笑いまで誘うのは、筆者の軽妙な筆致のなせる業。
「ああ、あるあるある」と共感したり、思わず声を出して笑ってしまったり、時にはホロッと泣けたり。
さらに、同じく著名な漫画家である夫君も頻繁に登場し、格好の題材に。共に歳を重ねたからこその絶妙な掛け合い、いつのまにか逆転した!?夫婦の力関係など、偽らざる夫婦関係も垣間見え、それがまた深い味わいに。
「老い」が愛おしくなる一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっ!chan
24
今の時代まだまだ現役ど真ん中の年なのに、書かれてることは加齢による失敗談がいっぱい(笑)そしてその時を通過してしまった私には、リアルに経験したこともいっぱい(笑)もちろん従う立場なので、きっと妻がおんなじような気持ちでいるんだろことは押して知るべし(笑)楽しい時間となりました。2024/03/19
マッピー
17
キャッチーなタイトルですが、最後まで読んでも夫を従えてはいません。夫は究極の自由人。でも、柴門さんの方は義父母と同居し、幼い子供を育てながら「東京ラブストーリー」を連載していた家庭人。時は流れ、人は年をとる。新しいものに挑戦しても、根気が続かなくなる。頭で考えていることと口が、または手が連動しなくなる。忘れてしまいたい過去は覚えているのに、大切なことを忘れていく脳。ああ、同じ同じ。夫も妻も、自分のペースで生活を楽しみ、たまに一緒の嬉しい時間を持てたら、それは幸せな老後と言っていいのではないだろうか。2020/03/24
kaikoma
3
書かれた当時の作者と、現在少し下ぐらいの年齢になりました。感情や物忘れ、体調など確かに自分でも老いを意識する機会が増えて来ています。それにしても子育て真っ最中に、不朽の名作ドラマを書かれたとは本当に驚きです。とても懐かしい気持ちになりました。2024/02/07
くに1973
3
かつてトレンディドラマの代名詞でもあった東京ラブストーリー、同級生の著者による「老い」笑の本。 リアルだけど、虚しさや抗いを感じない軽やかさ。老いに対する素敵な向かい合い方ですな。2023/04/11
stki5236
0
★★★☆☆2023/09/24