内容説明
13世紀の日本に迫る世界帝国の嵐――元の大軍勢はなぜ敗れ去ったのか? 海洋歴史小説の第一人者にして、戦いの舞台・福岡在住の著者が、クビライの海洋帝国構想、玄界灘の北西季節風の影響、軍船の構造と建造日程など、海からの視点と大胆な推論で、「蒙古襲来」の真相を解明する。13世紀の「日本」と「世界」の激突を、臨場感豊かに描く、歴史読物。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきよ
62
北条氏の執権世襲体制へ至る経緯、同じくクビライが皇帝になる経緯について、日本における古代から中世への転換、ユーラシアにおける遊牧民国家の勃興と絡めて未曽有の国難の顚末を読む。2015/11/05
さきん
27
著者は松浦党の栄えた地域出身。蒙古襲来で荒らされて以来、報復の意味もあって松浦党が世界に進出してのではないかと推測している。モンゴル側の人間模様もわかっておもしろい。モンゴル軍の侵攻は常に虐殺かといえばそうではなく、懐柔も多くて誇張されていた面も多いみたいだ。また、日本軍の抵抗も従来の説よりは組織立ってきていることが近年の研究で明らかになってきているとのこと。2018/12/15
糜竺(びじく)
24
この本は、直木賞作家で、歴史海洋小説の第一人者の白石一郎氏が書いた、歴史読物です。私の好きな作家さんだけあって、別に小説でなくても、非常に読みやすかったです。13世紀当時の日本に、ユーラシア大陸で世界帝国を築き上げたモンゴル帝国が大軍勢を率いて攻め込んでくるわけですけれども、嵐がやって来て、モンゴルの船が壊滅したって事程度しか知らなかったので、この本はホント事細かに蒙古襲来について、色んな角度から真相を解明しており、非常に興味深く読めました。白石一郎氏の本は、ホントいいです。また他の本を読んでみたいです。2013/11/20
TheWho
12
海を題材にした歴史小説家の著者が、日本史上の大事件である元寇を世界史的観点で日本史を論述する歴史読本。前読の井上靖の「蒼い狼」で蒙古の歴史に触発され本著を購入した。単なる文永・弘安の役の蒙古襲来を論述しているのではなく、成吉思汗の勃興から蒙古帝国の躍進。それと同時期の鎌倉幕府の成立を、東アジアでの古代から中世への革命的な歴史変遷と捉えて論述している。日本史上数少ない対外戦争で国内が戦場になった稀有な元寇を世界史の中で捉えた興味深い一冊です。2015/01/28
てぃと
6
海洋歴史小説の第一人者とも言える白石一郎氏によって書かれた元寇をテーマとした歴史読本です。元寇を主体としながらも、鎌倉幕府やモンゴル帝国の歴史についても様々な目線から詳しく語られており、たいへん興味深く読ませていただきました。かつてない国難となった大事件の顛末を白石氏らしく大変判りやすい文体になっており、自分にとっても良い読書となりました。元寇に興味がある方にお薦めの本です。2023/06/18