講談社文庫<br> 銭の城

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講談社文庫
銭の城

  • 著者名:白石一郎【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 講談社(2020/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061831377

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内容説明

大内家の支配が崩れた永禄年間の博多は、戦乱・混乱の中にあった。壱岐から島抜けをして博多にきた右近は、浮浪児の集団に入ったが、やがて才覚を示して頭領になる。商才と知略と度胸を武器に、多くの配下を巧みに利用した右近は、豪商や大名に接近しつつ、成り上がってゆく。痛快な銭もうけをした風雲児を描く、異色の歴史長編。ほかに「さいころ武士道」を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

糜竺(びじく)

37
この本には「銭の城」と「さいころ武士道」の2つの中編小説が併録されています。「銭の城」は戦国末期の時代に、壱岐の島の百姓息子、右近が商人の都の博多に出て、修行を重ねて有数の卸商人に出世していくという快作です。「さいころ武士道」は、博打好きの博多黒田藩士の小池半次郎が、博打で罪科をやらかし、長崎の聞役座詰めの書役へととばされて、しかしそこで最大のある大博打を打つ顛末を描いた作品です。特に、「銭の城」は、戦国時代の商人達も時代に翻弄されながらも、懸命にたくましく強く生きているのが伝わってくる作品でした。2015/05/04

jima

17
「銭の城」と「さいころ武士道」の2作。「銭の城」は、戦国末期に壱岐の島の百姓息子が博多に出て商いで大成功するサクセスストーリー。突然、スーパーマンに変身してしまいすぎのような印象もあったが、楽しかった。2021/07/11

TheWho

12
海を題材にした歴史小説家が、戦国末期の博多と江戸中期の長崎を舞台に描く時代中編物語。壱岐島の農民の主人公は、領主の徴兵を嫌い商人を志し長崎に逃亡し、当地で浮浪児の集団に身を置き頭角を表し、その集団を用い才覚、度胸を持って商いの道を開拓し博多で有数の商人に成り上がる表題と、博打の為長崎に左遷された福岡藩士が、当地で翻弄される騒動記の2編の物語で、時代を先駆けた男と時代に取り残された男の哀愁で、躍動の戦国期と停滞の江戸期を象徴した面白い一冊です。2015/10/19

さっと

7
白石一郎の初期作品群の城四部作(タイトルに「城」がつくだけで各編につながりはなし)もラスト。表題作は壱岐の百姓の子、右近が町人のまち博多で大商人を目指し奮闘する成長物語。会話文中心なのでサクサク読める。全盛期の大友、頭角を表す龍造寺、虎視眈々の島津など九州の戦国模様や、戦乱で焼け野原になってしまった博多の復興が商人の目を通して描かれており新鮮味がある。五代将軍綱吉治世のこちらも町人のまち長崎が主役の「さいころ武士道」も併録。武士の世ながらいわば商いで開かれた自由都市が舞台の白石さんらしい作品ですね。2021/10/02

Joao do Couto

3
戦国時代の博多の再生とそれにかかわった商人の活動を描く、「銭の城」。なんか当時の商売の様子なんかがすごく詳細で驚く。浮浪児の集団もいかにもといった雰囲気。もう一篇の「さいころ武士道」は綱吉時代を背景とする長崎での物語。個人的に刺激を受けたのは、ばくちの場面である。社会史の研究なんかで、そういうのありそうだと思いつつ、アジアのほかの地域ではどんな風だったんだろう、とか想像が膨らんだ。2018/06/05

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