内容説明
多々良一学は、慶長・元和の戦国豪傑の気風を残す、武辺者だった。しかし、戦国の気風が色あせた寛永の今、この男は、周囲に、はなはだ迷惑な男であった。強姦同然で妻とされたおくにの苦労も、人一倍。そんな一学が、今度は主君のあとを追って、切腹! 「武士道友情」の悲哀と奇妙さを描き出す、絶品の表題作ほか、7編の秀作を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
39
作者は私の好きな直木賞作家の白石一郎氏だけあって、ホント相変わらず味わい深い短編集でした。非常に心に沁み入ってくるものばかりでした。世に生きる事の悲しさ、侘しさ、嬉しさなどがひしひしと伝わってきます。個人的には、有名な戦国大名の加藤清正の嫡男の忠広、孫の光正が登場し、事件がおきて加藤家の地位と領土を没収されてしまう話の「改易」と、九州の戦国大名の竜造寺隆信などが登場する話の「謀殺」は、非常に興味深く読めました。なんか、どの作品も絶望的読後感とならず、これも人の世の生き方なのだ、と悟らせる短編集でした。2014/10/24
zag2
16
何年も前のことですが、同僚が白石一郎をよく読んでいると言っていたのを、ふと思い出してよんでみました。代表作でも何でもない、たまたま手に取った一冊ですが、短編のそれぞれがキレのよい作品。なるほど、この雰囲気が気に入っていたんだなと納得しました。2021/07/25
TheWho
8
海を題材にした歴史小説家が描く、時代短編物語。鎖国時に難破し助かるも帰国を禁止されているなルソン島に漂着したが、無理に帰国し自分の墓を見た船乗りの顛末、豊臣恩顧の大名加藤家の改易談、蘭方医と妖怪の騒動、戦国期から江戸期に至る武士観の変遷で無くなりゆく武辺の武士の顛末、龍造寺氏と大友氏の狭間で漂う領主の妻の悲哀、藩政改革の嵐にはみ出した男女の物語、江戸期長崎での混血児の悲哀、鳥羽港の遊女の前に現れた風変わりの男を巡る顛末とう7つの物語。共に哀しく過酷な悲劇の後に漂う温かみが象徴的な一冊です。2015/09/02
Gladcolza Bambootail
0
表題作の「戦国を斬る」のやたら騒々しい主人公の生き様とほんのり意外な結末の「やってきた男」が好き。2011/05/11
しんのすけ
0
白石一郎さんの作品は武家から庶民の話まで幅広い。今回も海に関係する作品もあり楽しませてもらいました。 読み進めてみて途中から予想もしなかった結末になるのもなかなかおもしろい。飽きが来ない作家さんです。2023/03/29
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