内容説明
身悶えし命乞いをする女を、美しいと思った。初めて己れの生業を、嫌悪した。泰平の世に人を斬る業を、極め続けなければならない、山田浅右衛門。その家系も、6代目に至り、烈しい気象が息んだ。ただ一首、斬り損じた女の怨霊に翻弄される、浅右衛門の最後を描く、という表題作。ほかに「殺生関白」「座頭国市」など、エロティシズム溢れる、異形の8編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
41
副題に“あるいは憑かれた人々の物語”とあるように、策謀だったり剣の奥義だったり、はたまた色や金銭欲に取り憑かれた8話の短編集。その半分は柴錬版怪談噺で、なかでも「これから物語る登場人物は、一人のこらず悪人だ。こういう物語も、珍しい」の書き出しで始まる「怪談累ヶ淵」が面白かった。もうひとつ、「よく斬れる刀が名刀」と信じる若い刀鍛冶が、「刀は身を守るためにある。人を斬るためにあるんじゃない」という師の境地に35年後に辿り着く「一心不乱物語」は再読の今回も胸に刺さる一編、うまいなあ。2024/05/02
Kira
17
図書館本。副題にある〈憑かれた人々〉が、何に憑かれていたのかを解き明かした解説を興味深く読んだ。柴錬は幽霊譚やスリラーものをけっこう書いていたのだなと思った。若き刀工の打ちあげた刀がたどる数奇な運命を描いた「一心不乱物語」がとてもよかった。2024/07/16
いえのぶ
1
短編8編。江戸次回~明治の憑かれた人々の話2004/10/03




