内容説明
沖縄の離島勢としてはじめて、甲子園に出場した日本最南端の高校・八重山商工。選手たちは全員島出身で、小学校の頃から伊志嶺監督の厳しい指導を受けてきた。「八重山から甲子園」という夢の実現を描いたノンフィクション、待望の文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
272
2006年の出版なので、もうかれこれ20年近く前のものだが下川裕治の筆力は、それをあたかも今年の夏のごとくに伝える。そもそも貧乏旅行ライターと目される下川が何故に甲子園?と思ったが、彼の父親は長く高校野球の監督を務めていたらしい。さて、本書は石垣島の八重山商工の野球部に密着したルポルタージュだが、それは同時に八重山文化論といった趣きを帯びることにもなる。なにしろ監督の伊志嶺も、選手たちも、そして応援席の人たちも、そのことごとくが八重山気質なのである。その年は、みんなにとって暑い熱い甲子園の夏であった。2024/08/28
おいしゃん
38
この人のアジア旅行記は好きでよく読むのだが、スポーツドキュメンタリーという全く違ったジャンルであるこの本もとても楽しめた。緩く、良い意味で抜けてて憎めない八重山諸島の人々の空気感に癒される。2020/05/02
kawa
13
甲子園で熱闘が続いているグッドタイミングな本書。06年、離島から初めて沖縄代表となり、甲子園に出場した八重山商工チームとその周辺を追うドキュメント。著者は彼らを、本土風の統率のとれた高校野球ではなく、島の流儀に沿うユルいチームと分析する。長年、沖縄に関わってきた著者ならではの指摘で、おそらく、地元の人では気がつかない視点だろう。一種の比較論的沖縄論としても面白く読める。2016/08/13
kinupon
13
野球一辺倒ではなく、かといって甲子園への夢はしっかりと持っている。今風な高校生で、読んでいてほっとしました。2014/06/09
koi
5
島の雰囲気の記述が多いでしょうか。監督の悪態をみんな聞き流す術を身につけたあたりユーモラスでした。伏せてあるような部分も多いのでちょっと興ざめするきらいもありますが、やっぱりネタが新しいといろいろな方面への配慮で仕方ないよなと思います。2014/08/23