シュリンクス - 誰も語らなかった精神医学の真実

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シュリンクス - 誰も語らなかった精神医学の真実

  • ISBN:9784772416399

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内容説明

なぜ精神医学はかくも強烈な疑念や批判にさらされ,「医学の異端児」とされてきたのか?――

動物磁気を提唱したフランツ・メスマーの空想的理論,昏睡療法やロボトミーなど無謀な治療法,ジークムント・フロイト派の創設と決裂,脳科学研究を開拓したエリック・カンデルによるフロイト派の王位奪還,伝統あるドイツ精神医学のアメリカの精神科医への影響など,神秘的疑似科学として誕生した精神医学が生命を救済する科学=職業として成熟していく足跡をたどる。精神医学に名を残す英雄と偉大な詐欺師の錯綜した物語(ストーリー),精神医学の光と影を成す歴史秘話(ヒストリー),精神力動的パラダイム(心の学問)と生物学的パラダイム(脳の科学)との抜き差しならない葛藤と相克,そして1980年の刊行とともに精神医学のパラダイムを一新した『DSM-III』特別委員会委員長ロバート・スピッツァーの行動と思惟が,膨大な文献と個人的体験を交えながら,一般の読者にも読みやすいトーンで語られていく。
だが本書の目的は精神医学のダークストーリーをスキャンダラスに語ることではない。「精神疾患とは何か?」「いかにして精神疾患を診断・治療するのか?」と絶えず真摯に問い,精神疾患を「不幸な心の状態」ではなく「治癒されるべき病い」として描き,精神医学と精神疾患への偏見とスティグマを晴らす使命こそが,本書が見つめる最終目的だ。

アメリカ精神医学会(APA)会長にして全米科学アカデミー医学研究所会員の碩学ジェフリー・A・リーバーマンによる,誰も語らなかった/誰も語れなかった精神医学の真実。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GASHOW

7
古代から中世までの医学は宗教じみていた。精神医学も頭に穴をあけるロボトミーが使われていた。確かに前頭葉を破壊すると人格はかわる。精神を治すというのはとてもむずかしく、多くの犠牲のうえで今があるのだと思う。2020/06/29

春風

7
アメリカ精神医学会の元会長が書いた精神医学史の本。精神分析がアメリカを席巻していた時代は暗黒時代でDSMは精神医学の進歩という価値観に貫かれており、良くも悪くもアメリカ的。2018/08/17

くろねこ

2
アメリカの精神医学史、果敢に取り組んだ先達、その光と闇が率直に描かれていて感銘を受け。いまにどう繋がっているのか、これからどこを目指すのか、日本ではどうなのか、いろいろ考えさせられました。2019/08/18

Kobajun

0
精神医学の歴史を光も闇も隠さず公に語る。よく精神科を忌避する患者や家族がいるようだが、どうしてそう当科だけ異なる見方をされるのか、そのヒントを得る為に本書を読んでみた。しかし、歴史から垣間見れる過去の産物の不確かさはあれど、おそらくそういう背景とは関係なしに、単に脳や精神に異常を来していると思われたくないなどの個人的な事情が主だろうと感じた。途中、糖尿病では糖尿病薬を飲むのに…みたいな一節があったが、まだ仮説こそ多い精神疾患でも、原因も以前より解明されており治療薬もある以上、もっと周囲に理解されるべきだ。2019/09/20

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