内容説明
戦国時代を戦い抜いた英傑たちと、その父の姿を、圧倒的な筆致で描く傑作歴史小説。織田信秀、木下弥右衛門、松平広忠、武田信虎、伊達輝宗、長尾為景ら、歴史に埋もれてしまった真の父子の姿が明かされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Wan-Nyans
42
★★★★戦国の英雄の父親にスポットを当てた6編の連作短編集。何れも自分が果たせなかった夢を息子に託したりそうでもなかったり。名前を書き出すと長尾為景、武田信虎、伊達輝宗、松平広忠、織田信秀、木下弥右衞門。特に後半の3編、三河・松平家の祖父の代の隆盛からの没落とその後の2篇の流れは見事でとても面白く読めた。まさか自分の息子が幕府を開くとは夢にも思わなかっただろうな(^^)2021/06/28
如水
33
表題の燕雀は史記の『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』から。分かりやすく言えば小物に大物の志は理解出来ない!と言う意味なのですが…ここの話は戦国で名将と呼ばれた人達(上杉謙信、武田信玄、伊達政宗)三編と三英雄(信長、家康、秀吉)の三編、計六編となっています。前半三編は父から子に何を継承したか?で、後半三編は父が子に何を期待したか?と言った所です。特に後半三編は話が『小豆坂』でリンクしており色んな側面が見れて面白い。さて、燕雀とは誰の事か?…偉大な子を持つ親って後々の世からすれば評価が 😰まぁ最後の話は…😓2020/02/16
金吾
27
著名な戦国武将の父親たちの短編集です。特に松平広忠と木下弥右衛門を題材にした話は始めてでしたので興味深かったです。弥右衛門と竹阿弥を同一人物とするのは面白かったです。息子を意識しながら生きる父という観点も現代でも通用するため良かったです。2022/01/05
春風
26
上杉謙信、武田信玄、伊達政宗、徳川家康、織田信長、豊臣秀吉の“父”を主人公に据えた、連作短編集。戦国の英傑と呼ばれる子をもった父親とは、如何な人生を送ったのか。俊英の子に対し、憎悪や恐怖・劣等感にも似た妬心を抱きながらも、最後には認め、夢や野望を繋ぐ希望となり、子は人生の慰めともなる。そのような父性が、伏流水の如くに流れる連作短編集であるのだと予感させておきながら、伏流水が堰き止められ、行き場を無くしたようなラストが用意される。「嫌だ、嫌だ」としがらみだらけの世に抗い、夢を抱き、志に繋げた父親たちの物語。2020/02/03
白きゅまⅢ
25
久し振りの天野純希作品でしたが、とても面白かった!上杉謙信、武田信玄、伊達政宗、徳川家康、織田信長、豊臣秀吉らの父親達の、活躍と衰退を描いた、6編の傑作歴史小説。相変わらず天野さんの文章は、歴史小説にありがちな読み辛さがなくテンポがいいので、とても楽しい時間を過ごすことができました♪様々な父親像が描かれていて、英雄達の父親ならではの葛藤や父親としての矜持が凄く印象的でした!好きな話しは、『決別の川ー伊達輝宗』、『楽土の曙光ー松平広忠』の二編です♪もっと沢山の方々に読まれて欲しい作品です!★★★★☆2020/03/06