文春新書<br> 「馬」が動かした日本史

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文春新書
「馬」が動かした日本史

  • 著者名:蒲池明弘【著】
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • 文藝春秋(2020/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166612468

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内容説明

馬が日本の歴史を動かした!

もともと馬がいなかった日本列島に、馬が持ちこまれたのは五世紀ごろ。
古墳時代の中期である。それを期に、この国は大きく変貌を遂げた。
「馬」という補助線をひいて、日本の歴史を考えると、これまで謎とされてきた事象が説明できる。

○なぜ世界最大の古墳は、ヤマト王権の中心地であった奈良ではなく、大阪・河内地方にあるのか。
○なぜ東日本最大の古墳は群馬県にあるのか。
○なぜ九州最大の古墳は宮崎県にあるのか。
○なぜ前方後円墳がもっとも多いのは千葉県なのか。
○なぜ武士政権は東日本に誕生したのか。


こうした謎を解く鍵が「馬」なのである。
山がちでありながら、じつは日本列島には馬の飼育に適した草原が広がっており、東アジア随一の巨大な馬の生産国だったのだ。

おもな馬の生産地は北東北、千葉、山梨、伊勢、河内、九州南部。
すなわち奥州藤原氏、平将門、武田信玄、平清盛を輩出した伊勢平氏、源頼朝のルーツ河内源氏、島津家と、日本史に輝く武将の地盤と重なっているのだ。
徳川家康の生まれた三河も馬産地である。

古代から近代以前、馬は重要な輸送機関であり、軍事兵器だった。
だから高値で売買され、莫大な富を馬産地にもたらした。その馬産地から、馬の活用にたけた武力集団が誕生し、彼らが権力を奪取した。

この国のかたちを決めたのは「馬」なのだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kentaro

46
平安時代、在地の武士が管理していた「坂門牧」は、羽曳野市に隣接する柏原市にあったと推定されている。他にもこの付近には、牛の飼育がメインのようだが、松原市と羽曳野市にまたがる会賀牧もあった。駅名にもなっている駒ヶ谷(羽曳野市)の地名が馬牧に由来する可能性をふくめて、この地域にいくつかの牧があったことはまちがいない。五世紀に馬が導入されたころ、当時の武人は馬上で弓を使おうとしただろうが、はじめのうちは、静止状態の馬から弓を射る程度のスローモーな動きしかできなかったのではないだろうか。2022/07/24

さきん

29
武士の勃興地域と火山、黒ボク地帯から生まれる草原、馬の多産地が重なる。朝鮮半島も騎馬民族なイメージがあるが、高句麗の北までいかないと馬を養うことができない。古代、中世、近代と馬の多産地も土地開発や歴史に変遷もあって移り変わっている。逆に明治期以降の内容にはほとんど触れていない。2020/03/28

みこ

24
弥生人=農耕民族なので米作りに適した土地を制する者がこの国の支配者になった。という理論に真っ向から対立し、米作りには適さないが馬を育てられる環境にあった河内源氏、坂東武者、薩摩隼人が歴史の真の支配者であると論じる。いささか仮定に仮定を重ねて筆者の願望に近い記述も多かったが、良くも悪くもロマンに溢れる一冊であった。話の締めに登場した土方歳三が逆転サヨナラホームラン!!(なんのこっちゃ)2020/04/02

kk

22
古来、日本は森林の国であると同時に、火山と草原の国であった由。その前提の下、日本各地の土壌と馬匹生産の関係に着目しながら、馬が日本史の流れに及ぼしたインパクトを論じる。九州南部は古代朝鮮半島への軍馬の生産・供給元だったのではないかといった問題提起や、日本と外国との間の、馬の価値や飼育についての考え方の違いなどについての視点には、大いに興味を惹かれた。本書の性格上、そのままで学術的な考証に耐えるものではないものの、提示された問題意識は、本職の研究者にとっても言わば「宝の山」なのではあるまいか。2020/12/22

はるわか

17
日本に「馬の飼育」が広がったのは5世紀(古墳時代中期)。日本は火山に由来する草原の国。火山性草原(黒ボク土)に馬産地が形成され、武士の活躍する舞台に。黒ボク地帯が密集する東日本と九州南部、ほどんど見えない関西、瀬戸内、九州北部。前者で縄文文化が栄え、その後武士の歴史が展開日本は「馬の国」(東日本+九州南部)と「コメの国」(西日本)に分かれる。される。火山と馬と巨大古墳。河内、日向、薩摩、関東、伊勢。日本の武士の強さは、縄文からの長弓を騎乗して射れること(騎乗して立ち上がることができる日本独自の鐙)。2020/03/27

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