内容説明
松林に捨てられた子犬が縁で、めぐり合った若い侍と武家の娘。犬好きの二人は、やがてほのかな愛を互いに抱くのだが、現実には二人とも意に添わない縁談に縛られ、苦悩していた。やがて二人は、武家社会の掟破りに挑む。福岡・黒田藩の総目付・十時半睡が、泰平の世に起きる武家社会の難問を裁く、シリーズの第4集。NHKでドラマ化もされた名シリーズ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
14
シリーズ4作目。「犬を飼う武士」は身分格差の大きい男女が恋に落ちた結果、最後に十時半睡が放つ一言がいいですね。「弥七郎の恋」は、半睡の息子で堅物の弥七郎が女に溺れる話。「放っておけ」とか「知らんよ、わしは」とは言えない半睡の意外な決断は次作に繋がるような終わり方でした。2019/11/12
TheWho
11
福岡藩総目付で隠居の十時半睡が、藩内の騒動を巧みに裁く短編連作の人情時代小説で全7巻の「十時半睡事件帖シリーズ」の第4巻。今回は、捨て犬の為土手に犬小屋を作る無足組の末弟の武士に心惹かれる御材木奉行の娘が、共に理不尽な縁談に追い詰められの駆け落ち騒動の表題を皮切りに、殿様寵愛の児小姓とのゲイ騒動、アル中武士の顛末、暴風雨の夜に居酒屋の女の元へ駆けつけた武士の顛末、出勤ノイローゼの武士、そして息子の不倫不祥事で辞職する半睡等六編の物語。共に春風駘蕩の飄逸や毒気に悲哀と哀愁が漂う一冊です。2016/02/03
ソババッケ
10
シリーズ4作目。今回も6つの連作短編。最後の「弥七郎の恋」では、半睡の息子(御蔵奉行を勤めている)が職務と係わりの強い米問屋の娘といい仲となり妾宅に囲ってしまった。半睡はこれを知り総目付の辞表を出してしまうのだが・・・。この巻でも馬回り組(550人いる)の話が多い。黒田家52万石では足軽を除く士分は1500人となっており、その人数の少なさに驚く。他家の1/3程度である。もしかしたら豊前中津(18万石)時代の兵数を福岡に移ってもそのまま維持したのかもしれない。足軽が4500人と異常に多いのも特徴か。★3.52016/03/09
NICK6
8
やっぱり事件帖では派手。活劇も斬りあいない、まして、おぞましい殺人も、ない。今回も男女間もめ事多めの困ったちゃん騒動の顛末。巷に知られた良識の初老、半睡殿がどうぼやくかが楽しい所。一件落着なんてどこにもないし。むしろ、後味は悪くなりそうな悲しき終幕を、当時の知識人でもある半睡が、落とし処をうまく探りあてる言動(あるいは軽いお裁き)にフムフムと感心する。心穏やかさを取り戻しながら、さて次は?っていう感じで読み進める。そこである。因みに違和感憶えた半睡の一言は、「暴風雨」。彼を「ばかな男」と!それは可哀想だ 2024/08/30
Ribes triste
7
十時半睡事件帖第4巻。ついに半睡、総目付役を辞す。その潔さもまた格好いい。2018/03/09
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