内容説明
勘定奉行の息子が、たわいない喧嘩から刃傷ざたを起こした。父は即座に息子に腹を切らせ、自らは辞職を願い出る。しかも、「泰平の世に武士に真剣はいらぬ、佩刀を竹光に変えたら」との提案までしたので、黒田藩中は大さわぎに……。そこで、黒田藩総目付の十時半睡にも、出番がまわってくる。武家社会の珍騒動を軽妙に描く、時代連作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
13
生きがいを見つけるために浪費を続ける男が突如開眼(?)する「走る男」、婚儀の夜、月に誘われるように家を出た男と女の悲恋「妖しい月」、女好きが治らない入り婿の悲喜劇「卵」など、シリーズ3作目も右肩上がりの面白さでした。2019/11/11
TheWho
11
福岡藩総目付で隠居の十時半睡が、藩内の騒動を巧みに裁く短編連作の人情時代小説で全7巻の「十時半睡事件帖シリーズ」の第3巻。今回は、軽輩の若侍を決闘で殺害した一人息子を切腹させた能吏の勘定奉行が、若侍達の刀を竹光に替えると云う表題を皮切りに、生きがいを持てない若侍がジョギングに目覚める騒動、少女の無償の愛の悲哀、近親相姦に陥った兄妹の醜聞、名家の三男坊の非情な養子処世術、そして隠居した女癖の悪い五十男の行状記等六編の物語。悲哀と哀愁だけでなく、性愛と醜聞も交えた情感溢れる一冊です。2016/02/02
あかんべ
10
順番どうりでなくてもかまわないシリーズ。どんと構えた半睡がいい。アメリカの銃規制をあたまをよぎる表題の刀が、よかった。2017/01/21
森の猫
9
本棚の本を再読。色っぽいお話が、多い卷でした。「走る男」ドラマでは、渡辺いっけいさんが、趣味で人より何か抜きん出たいと言いながら、道具や形から入って高価な散財をする男を演じてたんですね。十時さまのナイスアドバイスにより、ラン仲間も増えて、健康にもよくて上々♫ 黒田家主催、城内マラソン大会〜なんてあったら、盛り上がりそうです。2014/12/20
NICK6
8
このシリーズ、実は後半はもう読んでいる。わたしは「包丁ざむらい」含む、前半が好きだ。半睡自身の話ではなく、周辺の騒動の話がメインで、ありきたりの悪人善人みたいなお話は皆無。けっこう濃厚な、ありえない男女間人情、性格のヘンテコ過多な人々、大人になり切れない老人など、およそ変態的な出来事がこの巻では目立つ。半睡も、まったくしょうがねーなあって感じでぼやいていて、結びもすっきり感無い。そこがいい。そこがリアルである。嘆き節、苦笑いと諦念ほっとけ節。事件帖といっているが、そんな大げさな感じがまるでないのだ。 2024/09/04
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