内容説明
天正年間――信長は天下統一をめざし、将軍・義昭、武田信玄、上杉謙信、顕如上人らとの戦いに、勝利を続ける。天皇を凌ぐ神の座に就こうとする征服者との交渉役をつとめた正親町(おおぎまち)天皇の秘書官・勧修寺晴豊。この青年貴族の目を通して、未曾有の動乱期をしたたかに生き抜いた天皇と公家たちを描く、渾身の歴史小説。信長上洛! 青年公家が見続けた征服者の貌(かお)。
感想・レビュー
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熱東風(あちこち)
2
面白かった。/織田信長が中央政界に進出し始める以降の世情を、公家社会から通して眺めた物語。今までにない視点での話なので興味深く読めたものの、てっきり本能寺の変に至る経緯(陰謀云々など)をがっつりと描写してくれるものだと思ったが、それはあっさりと流されていてやや肩すかしの感も無きにしも非ず。/勧修寺晴豊と村井貞勝との交誼が中々に興味深い。筆者特有の、ドライながらもどこかユーモアな趣のある筆致がこの二人の間柄を描写するにはうってつけだと感じた。2021/06/10
hatao5915
2
織田信長の勃興から本能寺の変までを、権威を維持せんとする朝廷と、武力で実効支配せんとする信長の間で激しく揉まれつつ、サバイバルした若き公家の視点から史実の下に書かれた時代小説。戦国時代を武士でない人間の視点から書くというのは新鮮。歴オタ諸氏には強力にリコメンドします。2013/02/26
ちばと~る
2
若き武家伝奏 勧修寺晴豊から見た織田信長の軌跡。美濃併呑。義昭を奉じての上洛。浅井、朝倉、本願寺との死闘。叡山焼き討ち。武田家滅亡から本能寺の変まで。戦国期の公家社会のお勉強になるねw2011/09/22