内容説明
『点と線』『ゼロの焦点』『砂の器』『波の塔』など、さまざまな作品が今なお映像化され続けている戦後日本を代表する作家・松本清張。1953年の芥川賞受賞直後に手紙を送り、初の「担当編集者」となった著者は、最初期の松本清張に何を感じたのか? 戦後日本の文芸界との関わり、家族とその暮らしぶり、そして松本清張と交わした約束……松本清張と二人三脚で作品を生み出してきた編集者が今だからこそ語れる「作家・松本清張」「人間・松本清張」のリアル。 ◆巻末特典◆松本清張の年表&主な小説作品リストつき!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旗本多忙
20
僕には好きで好きでたまらん作家の松本清張だ。日本が誇る大作家だと僕は思っている。存命中は単なる有名作家くらいだろうと作品にも差程興味はなかった。清張に関する研究本は数多出ているが「東京に出たいが不安なんだよ」と著者桜井氏とのやり取りの手紙にある。43歳で作家業、桜井氏は22歳で光文社に入社ホヤホヤ。五味康祐と清張は芥川賞を受賞する。清張が唯一見せた書斎の中、桜井氏しか知らない清張の書斎をつぶさに書き上げている。清張ファンにはたまらない1冊でありましょう。作品リストが附されていて、また食指が伸びそうだ。2023/08/26
なるうお
13
そんな時代もあったんだなぁとしみじみと読める。2021/01/18
パトラッシュ
12
松本清張の作品論は多いが、清張個人を知る手がかりは乏しい。しかも70年近く前の文壇登場時となると語れる人もいないと思っていたら当時を知る元編集者の証言が現れた。来年で90歳とは思えないしっかりした記憶と筆で、意地っ張りで負けず嫌いのくせに臆病なデビュー直後の清張の姿を甦らせる。占領期が終わり出版界も活気にあふれていた頃に登場した「売れる作家」と編集者の関係も面白いし、書斎のじゅうたんが西瓜の汁だらけとは笑うしかない。学生時代に太宰らしき作家と出会ったことといい著者は文学と不可思議な縁で結ばれているようだ。2020/01/31
kaharada
5
担当編集者さんが書いた松本清張。 一度に3つ、覚えなさい ー あの知識量はこの考え方からくるんだなあ。すごい。 20歳も年下の編集者と、駆け出しの作家っていう組み合わせが面白い。 作品を書くより前に、人に話して反応をみて、その後に作品を描いていくというやり方を、新聞社にいた時からやっていたという点。これってすごいと思った。自分の創作に対して人の反応を直接見るって強い。2023/08/27
ユウユウ
5
松本清張のすごさ2022/10/17