内容説明
「一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。『分断されない、ひとまとまりの時間』をもつことが必要なのだとぼくは思います。一人でこもって過ごす時間こそが『価値』を生むからです」
「『孤独』ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。その上で、どこまで風通しよく生きていけるか。それを目指していこう」
思想界の巨人が普段着のことばで語る、もうひとつの社会とのかかわり方。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lonesome
43
「ひきこもりの人は、考えること、感じることを人より余計にやっているのです。」自分は自分から誰かに話しかけることが苦手で、実際に話すと話が上手ではないことは自分でもよくわかっていて。なぜならリアルで話す時に自分のことを俺とか僕と呼ぶことが恥ずかしいから一人称がないのだからそれも当然のことだ。ひとつのことでモノになるものにするには十年はかかると言う。それくらい持続させるにはひきこもる時間も必要で、自分のことを深く考えることで作られると言う。グルグル考えてしまう性格も悪いものではないのかな。2014/09/02
Y
34
未だかつてない程家にこもるように言われる現状においてタイムリーな読書となった。ひきこもることは得意。どんな風にひきこもることを肯定してもらえるか期待して読んだ。曰くひきこもることで自分と向き合いしっかり物事を考える時間ができるようだ。市民運動をやっている人たちへの指摘に共感。私は彼らの考え方や意見に賛同することも多いのだけど、批判はしてもグループの雰囲気からはみ出さないようにとにかく気を遣っているように見える。ある事柄に対して皆が同じように反応する。空気に飲み込まれないように自分の頭で考えたいと思った。2020/05/07
だーぼう
30
ひきこもりをしろなんて決して言ってない。でもいいとは言ってる。このバランスが絶対健康的だと思う。ブログに感想を書きました。2016/11/29
saga
25
1924年生まれの著者は、自分の父母よりさらに10歳年長。ひきこもりは時代を超えて存在していた。ひきこもりを肯定的に表現した書名に惹かれた。しかし、21世紀の今、著者が言うようにひきこもりの人が深く考えて生活しているか? 昼夜が逆転し、ネットやゲームの世界に逃避する若者が多くはないか? 本書が、ひきこもっている人達が自立して生きる指針になってほしいと願う。2019/03/19
kakoboo
23
以前、引きこもりがちな友人に外へ出ようと積極的に声をかけていた自分に対してはっとするものがありました。コミュニケーション力が大事と世の中では言われていますが、いつでも外に出るのでなく、2つの言葉を作る上で自分の時間・孤独の時間を作ることの方がよっぽど大事だと感じました。 何でもかんでも世間のあるべきや普通を意識すればいいもんじゃないですね。 吉本さんの本を初めて読みましたが読みやすいのでオススメです。2018/01/04