内容説明
妻か、妻の友人か。
よりよい人生をつかみ取るため、
過去へ跳び、人生を選べ。
何度も。
鬼才が描く永遠なる10年――
平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。
しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。
たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。
ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。
目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。
人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。
芥川賞、島清恋愛文学賞作家が描く大人の偏愛。
(自作解説収録)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tαkαo Sαito
26
回遊人切ねぇ。けど面白い。吉村萬壱先生の文章は等身大で飾らず、読者に150kmのストレートで突きつけてくるから止められない。165kmでも、160kmでも155kmでもないのよ。コンスタントに投げ込める150kmのストレートなのよ(分かってくれるはずはない)2023/06/15
兵士O
14
奥さんの淑子さんが可哀そうですぅぅぅ!!! 旦那の主人公が浮気や女遊びをしても、子供がいるからと慎ましく我慢するし、唯一の相談者である診療所の医師のことを、旦那がその日の気分で罵倒しても、これまた言い返さないし、本当に尽くす女性ですよ。この作者の吉村さん、女性を描くのが上手いですね。一見すると、主人公の駄目男っぷりばかりが目につく小説ですが、もう一人のむちむちヒロイン、亜美子の性格の放蕩さも光ります。多分、吉村さん、実生活では、奥さんに感謝しているんだろうな、と思います。そんな深読みができる小説でしたね。2020/03/07
sansirou
10
脱サラした作家が妻子を抱えかけない苦悶の中、中華料理屋で落ちていた錠剤を飲むと、10年前の自分に戻っていた。過去の自分とは違う選択の中で、魅力的な女と一緒になるが、元妻との関係を心に残し10年後また薬を飲んで過去に戻る。この話はなんだか怖いですね。2025/04/24
夕暮
6
読書会課題本。気になっていた書き手を初読み。思ったよりエグくなかった😄萬壱風ブラッシュアップライフか?いやブラッシュダウンライフだな。主人公は屑すぎるが、奥さんは彼のどこに魅力を感じたんだろう。ある種の夫婦小説なのか? 始めが一回目の人生とは限らないな。2025/02/14
あひるのふせん
6
信じられないことにバレンタイン小説。2月14日からの分岐と言えば、なんだ青春か、とライトな興味を引きそうですが、甘いもほろ苦いもない、思わず目をきゅっとしてしまいそうな酷い主人公です。ただ、ままならない人生を嘆く様や、ふと些細なことで淑子を思い出す場面にどうしようもない、泣きたい気持ちになってしまう。センスのない言葉でいうと、純文学的タイムリープものですので、「伏線回収」のようなもの「展開」のようなものが続いて単に読む手が止まらない。結局面白かったな、と本を閉じた自分にも驚いてしまう、不思議な小説でした。2020/02/14
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