内容説明
自宅で寛いでいた警察署長フェローズへ、事件の報がもたらされる。成績優秀で礼儀正しいと評判の13歳の美少女、バーバラが行方不明になっていると、母親が電話をかけてきたというのだ。彼女が姿を消した前の晩、バーバラは生まれて初めてのダンスパーティに出掛けていた。だがパートナーの少年や学校関係者を調べても、有力な手がかりはつかめない。家出か事故か、それとも誘拐されたのか? 地道で真っ当な捜査の果てに姿を見せる、誰もが息を呑む衝撃のラスト――。本格推理の妙味溢れる警察小説の名手として名高い巨匠の、鮮烈な傑作を新訳で贈る。/解説=大矢博子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
132
少女失踪という一事件の捜査をフェローズ署長の視点から淡々と丹念に描写するウォー節は変わらず。この小説の圧巻は、最後の方のある人物の長広舌。タイトルの意味が胸に落ちる。この小説が発表された60年代の米国にとって、貧しい家庭、シングルマザーの家庭の女の子の人生は付き合う男によって決まるというのが、一般的価値観だったんだろうか。成績も良くて、人気者だったこの被害者なら、将来男と破局しても、ちゃんと立て直せるんじゃないかな。セックスが動機という作品が多いウォーだが、これもある意味そうだが、異質だ。2019/11/07
ケイ
92
これは酷すぎる。あまりにかわいそう。読まなきゃよかった 2020/02/10
cinos
63
ヒラリー・ウォー初読み。成績優秀な13歳の美少女が失踪した。警察は地道に捜査をつづるが。彼女に何が起こったのか最後の最後までわからない。推理を組み立てて崩して真相に迫っていくのはすごく面白くて、ヒラリー・ウォー、もっと読みたいと思いました。誰かが『失踪当時の服装は』が『キドリントンから消えた娘』の元になったのではと書いてたけど、これも元になっていそう。2020/07/07
*maru*
55
ヒラリー・ウォー8冊目はお馴染みのフェローズ署長シリーズです。13歳の少女の失踪事件。親のエゴと思春期真っ只中の少年少女たち。近隣住民の親切心や目撃情報の信憑性など、どこをとっても怪しさ満点。さすがヒラリー・ウォー、読ませます。味があってもどかしいレトロな捜査方法やプロセスももちろん大好きだけど、それより何よりこのビターな幕切れにいつも痺れちゃう。解説で大矢氏が述べているように、表裏一体の関係と読み取ることができる『失踪当時の服装は』が初読だった私にとって、本書も忘れ難い作品になるだろう。2020/03/02
星落秋風五丈原
43
フェローズ署長シリーズ。快刀乱麻悪を断つ!という展開ではない。本当に警察が普通の捜査をしてあるべき答えにたどり着く。まあ当然あるべき反応がなかった違和感がずっとひきずっていて結局そこに答えはあった。2019/11/01