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内容説明
坪田譲治文学賞受賞作家が、山奥の学校に引っ越してきた少女が木、そして林業と触れ合い、木工を通じて心を伝える姿を叙情豊かに綴る。
鮮やかな手つきに目を見張った。木片は、あっという間に女の子の形に変わり、それをわたしに差し出す。ありふれた形だけどすぐにわかった。ボブヘアにスカート。太めの脚に大きな足。「これ、あたしだ……」――<本文より>
【あらすじ】
英語の臨時教員として1年間限定で山奥の高校に赴任した父親といっしょに峯川村に引っ越してきた小学6年の美楽(みらく)は、「コンビニもない」ド田舎での暮らしに不満だらけ。小学校でも同級生とうち解けることのないまま日々を過ごしていたが、ある日、山の中に工房を構える「デンさん」に出会い、木工の魅力に目覚めていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
55
読破。何でもかんでも木工で──っていうのはいかがなものかと思ったのは事実だし、小6にしては考え方とか言葉遣いとかが大人過ぎるような気もしましたが、それでも、なにか1つ打ち込めるものを見つけられた主人公は幸せかと。木工を通して少し成長する女の子と、輝く星になるのを夢見る女の子の、ほんの少しの友情と成長の物語。2013/03/03
ぶんこ
50
キチンと手入れされた木々を見るとホッとするので、川越林業さんに拍手したくなりました。 手入れされている林って、国有林しか知らないから行ってみたくなりました。 田舎の名家の一人っ子は辛いですね。 特に夢を持っている子には。 優美さんには頑張って夢を実現して欲しい気持ちと、木々を育てて欲しい気持ちと、複雑です。 その点、同じ一人っ子でも美楽ちゃんは幸せかな。 時間を忘れる程好きな事が出来たって最高。 高校生になって戻ってくるであろう美楽ちゃんの物語も読みたくなりました。2015/08/22
はる
50
予想した雰囲気とは違ったけれど、面白かったです。田舎に越してきた少女が木工細工と出会い、成長していく物語。主人公の小6の女の子がかなり個性的。大人っぽく冷めた視線とぶっきらぼうな口調。微妙な感情の描写は小学生の女の子というより、一人の女性として描かれています。淡い恋心の描写や周りの人との距離感が、ちょっと群ようこさんや瀬尾まいこさんの小説に似ているように感じました。2015/07/14
chiaki
36
東京から超ド田舎の村に期間限定で住むことになった小学6年生の美楽。いつもどこか白けていて、コンビニ好き脱力系女子。明野工房のデンさんとの出逢い、木工を通して木のぬくもりに触れることで次第に心がほぐれていく。親のしがらみなど、思うままにならない将来を抱える山田や優美たちと痛みを共有しながら、自らの道を淡々と歩む姿に美楽の成長を感じる。小6らしからぬ美楽のキャラクターに馴染むまでに時間はかかったけど、彼女のその後のストーリーを是非読んでみたくもなる。2019/04/08
itico
24
1年間限定で自然ばかりの田舎に引っ越してきた美楽が木工に出会い、技術が上達していくのと同時にクラスにも溶け込んで行く。その様子が良い感じで、時にジ~ンときたり。人は皆、違った環境の中に居り、その中でどう折り合いを付けながら自分の夢を見つけて行くのか、そんなことにも触れているんだな。自らの手でモノを作り上げる工程は羨ましいくらい輝いて見える。ちょっと木工に興味を持ったかも。2012/05/27