講談社学術文庫<br> 〈英国紳士〉の生態学 ことばから暮らしまで

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講談社学術文庫
〈英国紳士〉の生態学 ことばから暮らしまで

  • 著者名:新井潤美【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2020/01発売)
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  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065183595

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内容説明

自転車を「bike」と呼ぶか「cycle」と呼ぶか、眼鏡は「spectacles」かはたまた「glass」か。イギリスの階級意識はこんなところにも現れる。言葉遣い、アクセントにはじまり、家や食べ物、ファッション、休暇を過ごす場所……あらゆるものに微妙な、あるいは明白な階級をあらわす名札がついている。「世界中でもっとも階級にとりつかれた国」、作家ジョージ・オーウェルはイギリスをそう評している。
 そんなイギリスで「紳士」たらんと、ほかの階級から嘲笑を浴びつつ精一杯背伸びしてきたのが、本書の主人公「ロウアー・ミドル・クラス」の人々である。「英国紳士」と聞いて真っ先に思い浮かべるシャーロック・ホームズや、日本で人気のジーヴズは、実は彼らと同じ階級に属するヒーローなのだ。
 ワーキング・クラスとは断固区別されたい、しかしアッパー・クラスには決して届かない。上の階級の趣味や持ち物をまねると、たちまち流行して彼らが所属する階級の証となり、揶揄の対象になってしまう。隣人と差をつけるべく、アップライト・ピアノを買い、レースのカーテンを飾り、ささやかなことに一喜一憂する姿は、滑稽でありながらもいじましく、愛おしい。
 彼らが揶揄されはじめたヴィクトリア朝から、かつての階級を超越した「スーパー・クラス」が登場する現代に至るまで、およそ100年間の悪戦苦闘を豊かなエピソードで描きだす。ほろ苦くもおかしいイギリス階級文化論。(原本:『階級にとりつかれた人びと』中公新書、1999年)

目次

はじめに
第一章 二つのミドル・クラス
第二章 ヴィクトリア朝――せせこましい道徳の時代
第三章 「リスペクタビリティ」という烙印
第四章 「郊外」のマイホーム
第五章 ロウアー・ミドル・クラス内の近親憎悪
第六章 貴族への憧れ、労働者への共感
第七章 階級を超えるメアリー・ポピンズ
第八章 クール・ブリタニア│「階級のない社会」?
おわりに
学術文庫版あとがき
主な参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

65
やはりイギリスは階級社会だと再認識しました。一口にミドル・クラスと言っても、ロウワー・ミドル・クラスは労働者階級との差別化をしようとするため、特有の言葉を使ったり、特有の行動をしたりすることもあって、アッパー・ミドル・クラスからは揶揄される存在となっています。中には必ずしもロウワー・ミドル・クラスしか行わない慣習や行動とは限らないものもありますが、ロウワー・ミドル・クラスが行うとからかわれてしまうというやっかいな点もあります。英文学を読むときは参考になる指摘だと思いました。2020/06/16

TATA

32
大学で英国文学のゼミに所属するときっとこんなことを勉強するんだろうなと想像するだけで楽しい。労働者階級と上流階級だけじゃなくてそれらに挟まれたミドルクラスにもいろいろあってという悲哀の数々。英国に来て3年になるけれどよく理解できないステータスのギャップを感じる事もチラホラと。思えばこっちに来たばかりの頃、全く違う発音体系、聞いたことのない単語のオンパレードで殆ど理解できないことも何度もありました。かろうじて「チェルシー」だけ聞き取れてサッカーの話なんだと。そんな英国に関するアレコレ。2020/12/30

KF

22
分類が難しい感じですが、英国社会の階級についての一冊です。「階級」について深く考える機会はなかなか無く、本文を読んでいる中で「江戸時代以前の士農工商のような身分を考えれば当たるのだろうか?」と思っていたところ、「日本で言えば標準語と方言のような住み分け」のような説明がありました。「階級」別に同じ英語でも言葉があり、学校と家庭で話す言語が異なる事を「私はバイリンガル」と言う生徒が紹介されていました。難しい内容であり巻末の解説で少し解した感じです。ビジネス英語のテキストで知らなければ読まなかった一冊でした。2025/07/31

おはぎ

16
タイトルは新書版の方が的確というかいわゆる「英国紳士」ではないロウアー・ミドル・クラスについて描きだしたもの。上流階層の嗜みだった文化などが、それに憧れた少し下の階級とみなされた人に普及した途端俗なものとみなされるなどは日本でもよくある心理かもしれない。今は移民などが新たにこのような階層の担い手となりつつあると感じ、英国にはまだまだ「階級」は健在だろうと思う。2024/06/18

bapaksejahtera

15
著者が本書の20年後に書いた「英語の階級」を読んだ後だったので後先が違った。前書は著者の実体験を基にユーモアを交え言語の階層性を述べた物。本書は著者の専門性を基に英文学から実例を引きつつ、これを一般向けに書いている。薄い本乍ら中々読みでがある。今更乍ら推理小説読みの参考にもなる。英国が軍事的経済的に発展するに連れ、教育を受けた労働者層が階層上昇を果たしていく。摂政時代からビクトリア時代にかけての社会の変遷が理解できる。新興社会層に生ずる自らの行き場を探す葛藤の様が、馴染みの作家や作品を例に説明される。良書2023/03/15

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